岡山県労働組合会議

はい、岡山県労会議です。086-221-0133

カテゴリ   活動日誌

と き:2014年3月29日(土)13:30~

ところ:岡山市勤労者福祉センター

概 要

 秘密保護法廃止!共同行動実行委員会は今年に入って第2回目の学習会を開催しました。今回は井上正信さん(弁護士・尾道総合法律事務所)をお招きし、「秘密保護法で日本はどうなる」というテーマでご講演をいただきました。学習会には38人が参加しました。

 「秘密保護法は法律の内容だけを見ても解決策は見いだせない。秘密保護法は改憲への一里塚であり、憲法改悪に反対する運動と併せて追及しないといけない。現在、非常に緊張をはらんだ状態にあり、改憲勢力とそれを阻止するための市民勢力とのぶつかり合いが始まっている」と強調しました。「4月には安保法制懇報告書を提出させ、通常国会開期中に集団的自衛権行使の解釈改憲を果たし、臨時国会に自衛隊法、有事法制、周辺事態法などの防衛法制の改正法案を提出しようとしている。自民党改憲草案の実現を射程に置いている。第2次安倍政権は改憲のための明確なロードマップを持っている。しかし、昨年の秘密保護法反対運動の力は安倍政権の策動を私たちの力で阻止できることを示した」と話しました。

それでも法律が成立してしまったのは、「反対運動の立ち上がりが遅かったこと。そして、報道機関の危機感の薄さが考えられる」とし、「日弁連は2011年11月にワーキンググループをつくり秘密保護法に反対した。しかし、マスコミは一切取り上げなかった。法案の概要が2013年9月に発表されてからは、その危険性を感じた国民が反対運動に立ちあがり、たちまちの内に広がり、新聞各社も反対の社説を書くに至った。戦争と憲法改悪に反対する根強い国民世論の存在は大きい。加えて、民主主義を否定する政府・政権与党の強権政治に対する広範な怒りがある。運動をより広げるためには報道機関を巻き込んでいかないといけない。今回のことはそのことを反面教師的に物語っている」とし、民主主義社会での取材報道の自由、報道機関の果たす役割の大切さを訴えました。

安倍政権の考える国家構想について、「彼らが狙っているのは秘密保護法、集団的自衛権の行使だけではない。自民党は国家安全保障法の成立も目論んでいる。それは、国の政治・行政・政策のすべてにわたり、国民生活の隅々まで国家安全保障が最優先価値とするものだ。有事の際は地方公共団体や住民は否応なく協力させられる。このような国家システムによって、強力な権限を与えられた内閣総理大臣がトップダウンで動かすもの。まさに、戦争国家体制そのものだ」と説明し、「不安神経症に陥った軍事オタクたちが日米防衛の隙間を探して戦争シュミレーションごっこをしているようなもので、今や安倍内閣のそのものが国際問題の一部になっている。秘密保護法廃止運動以上に広範な国民が反対しているのが自民党の改憲草案。日本に対してアメリカ、韓国、中国も不信と懸念を深めている。安倍内閣の安全保障防衛政策が歴史問題を伴って、日本を国際社会の孤児にしている」と強調しました。最後に、「秘密保護法は不完全な法律。第三者機関や国会法の改正など国会で議論すべき問題はいくつもある。秘密保護法廃止案を提出する動きと秘密保護法廃止を求める運動、そして、改憲反対運動を結び付ければ安倍内閣を追い詰めることは可能だ。それは、日本が再び平和国家として国際社会から信頼を得ること、北東アジアの平和と安全、繁栄を確実にする」と話しました。

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とき:2014年3月19日(水)13時30分~

ところ:県庁議会棟

3月19日、岡山県社会保障推進協議会は国民健康保険料の滞納者に対する違法な取り立てや介護保険の要支援1.2はずしに関する問題、生活保護の窓口対応、子育て支援などについて岡山県に改善を求めました。

 岡山県・杉原保険福祉課長(左)に要請書を渡す中島副会長(右)

国保問題では滞納者に対して暴力的で威圧的な対応がされており、実態を紹介しながら改善を求めました。滞納者が生まれている背景には、国の補助率の削減がありますが、悪質な滞納は別としても、実態は生活を脅かしています。厚生労働省が「違法な取り締まりがあってはならない」とする国会で答弁して、指導するとしていますが実際には守られていません。県は収納率を上げることは当然としながらも、「生活実態に即して対応し、行き過ぎがないよう研修会などで徹底する」と約束しました。生活保護の申請に対しては県内の自治体によって窓口対応に差があり、職員が申請を受け付けようとせず、個人の考えで対応している実態を指摘して改善を求めました。これに対しても県は、「法律は決まったが今までと制度の基本は変わらない。岡山市は政令都市なので別だが、指導する」と約束しました。ただ、実態については詳細には掴んでいない様子でした。

子育て世代への医療費補助についてはこれまで通り、国の責任と主張して県独自の支援策を否定しました。保育制度について、父母と事業所との直接契約になり公的責任が曖昧になるとの指摘に、「制度に変わりはない。契約は自治体との間に結ばれる、違うのは認定制度になることだ」と説明しました。しかし、認定は保育所との契約のためであり、公的責任が曖昧になることに変わりはありません。時間切れで懇談は終わりましたが、継続した要請行動が求められています。県社会保障推進協議会としての詳細な実態把握も必要です。

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と き:2014年3月14日(金)12:15~

ところ:中国電力岡山支社周辺

概 要

  原発ゼロをめざすイレブンアクション岡山は81回目の抗議行動を行いました。今回の行動には29人が参加し、替え歌で原発ゼロを訴えました。

 出発前の情勢報告で伊原事務局長は、「原子力規制委員会は13日に、原発再稼働の前提となる規制基準適合性審査で九州電力の川内原発を優先的に進め、審査結果をとりまとめる方針を固めた。地元からは『福島原発事故はまだ収束していない』『防災・避難計画も問題だらけ』と抗議の声が上がっている」と話しました。

 中国電力岡山支社周辺はビル風が吹き寒い中でのデモ行進となりましたが、参加者は「原発なくせ」「子どもを守れ」「自然エネルギーを活用しろ」と声を大きく上げました。

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3.13 重税反対統一行動&通信労組スト支援

と き:2014年3月13日(木)7:30~

ところ:岡山駅西口さんすて前、NTT岡山前

概 要

 春闘もいよいよ3月12日に一斉回答が出されました。大企業はトヨタが2700円、日産3500円、常陸2000円、三菱2000円、パナソニック2000円、新日鉄1000円の回答が出されています。しかし、今日の経済不況を打開できる水準には達してはいません。連合の最低限の要求にも答えない大手企業の体質は、政府を持って賃上げ要求がされた中でも、出し渋りの姿勢を示しました。当然、地方での闘いの厳しさに変わりはありませんが、県労会議に組織されている組合では、倉敷医療生協が1000円、JR西日本が500円、津山医療生協が2,600円(介護福祉士)のベア回答を引き出し奮闘しています。中央福祉会では正規職員へのベア回答が約束されました。NTTは幹部職員にのみ適応させる回答が出され、一般職員はゼロ回答となっています。4月からの消費税増税を目前にしており、賃上げは待ったなしの状況です。県労会議は、消費税増税に反対する全国統一行動に連帯し、4つの駅で宣伝行動にとりくみました。県商連は県下8地域で1300人以上が重税に反対する集会と同時に、それぞれの税務署に集団申告しました。一連の行動は安倍政権への統一的な抗議行動として、抗議文を集会で採択してFAX送信するなどの取り組みが各団体や労組内で行われました。

さんすて前(岡山駅西口)での宣伝

 岡山駅西口には19人が集まり、チラシ1500枚を配布しました。マイクを握った伊原事務局長は、「15年以上、労働者の賃金は下がり続けている。加えて、円安に伴う諸物価の値上がり、医療・年金・介護などの負担が増えている。そして、4月1日には消費税が8%に増税されようとしている。消費税増税に断固反対するとともに、今春闘で大幅賃上げを勝ちとるために最後まで声を上げよう」と訴えました。

 宣伝終了後、岡山NTT前に移動し通信労組のストライキ支援に加わりました。雨にもかかわらずストライキ支援には合計15人が参加し、チラシを配布しました。 通信労組は一律3万円以上の賃上げ、非正規労働者の時間給240円以上の引上げなどを求めてストライキに突入しました。  

NTT前でのチラシ配布

ストライキ宣言を読み上げる河合書記長

ビラ配布終了後、通信労組の河合書記長がストライキ宣言を読み上げ「労働者犠牲、利用者サービス切捨ての経営が進められ、2013年3月期連結決算では1兆2000億円の営業利益を上げ、内部留保は9兆円を越えている。一方で労働者には賃上げゼロが続けられ、50歳再雇用選択者はいまなお賃下げのままだ。また、非正規労働者が全労働者の3割を占めており、正社員と同様の成果が求められている。均等待遇を実現することは急務だ」とし、「通信労組の要求はNTTグループで働く労働者の切実な要求だ。誠意のないゼロ回答に怒りを込め、14年春闘に結集する仲間と固く団結してストライキに突入する」と宣言しました。

NTT岡山支社前で支援の仲間と共に

応援に駆け付けた産別からも連帯のあいさつがあり、ストライキ宣言が読み上げられました。

 午後、12時15分からはさんすて前で消費税増税の中止を求める宣伝を行いました。この行動には各労組から24人が参加し、署名38筆を集めました。

 伊原事務局長が再びマイクを握り、「アベノミクスのもとで景気は回復していると言われる。しかし、物価が上昇局面に入る一方で、賃金の基本部分である所定内賃金は対前年同月比でマイナスを記録しつづけ、労働者のくらし悪化は進むばかりだ。4月に消費税大増税が実施されれば私たちの暮らしは成り立たない。賃上げと雇用の安定、国民所得増こそ経済再生の要だ」と訴えました。

署名をする学生さんが目立ちました。

署名に応じてくれた高校生は、「消費税が増税されてもお小遣いは増えない。絶対に反対だ」と話してくれました。また、大学生は、「アベノミクスでは経済は良くならない。労働者の給料を上げることが必要だ」と語りました。

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とき:2014年3月10日(月)12時15分~

ところ:表町商店街

 憲法改悪反対岡山県共同センターは3月8日(月)定例の憲法宣伝を行いました。安倍内閣による集団的自衛権行使の急速な憲法解釈をめぐる動きや従軍慰安婦問題で韓国に謝罪をした河野・村山談話を否定して、その事実がなかったかのような歴史認識を示そうとする自民党の動きが急ピッチです。安倍首相は意図的に中国や韓国を刺激しています。一連の動きには韓国や中国、アメリカ、ヨーロッパからも批判が飛び交っています。勿論、私たち日本国内でも侵略戦争を反省しない安倍首相に対して全国で「戦争反対」「憲法を変えるな。集団的自衛権の行使を許すな」の声が巻き起こっています。

この日の宣伝は風が吹きすさぶ表町商店街で行われ、県労会議の弓田事務局長が訴えを行いました。宣伝には9名が参加、30筆の署名を集めました。

 署名をしてくれた80歳の女性は「私は13の年に空襲にあった。政府は何の補償もしてくれなかった。戦争はいけん」と話しました。若い男性は「集団的自衛権で戦争をするような国にしてはいけない」と言って署名してくれました。寒いお昼時でしたが、意外に署名は進みました。

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と き:2014年3月9日(日)10:00~

ところ:石山公園

概 要

 東日本大震災から3年が経過し、もうすぐ3度目の3月11日を迎えます。福島第一原発では、現在も3000人の作業員の方々が収束作業に従事しています。しかし、放射性物質は漏れ続け今なお放射能汚染は拡大し続けています。

 3月9日、380人が集まり被災地の復興、避難者の支援、原発ゼロへの思いを新たにしました。主催者を代表し、大塚尚幹さんがあいさつを行い、「震災で亡くなられた方々を追悼するとともに、被災されたすべての方々の幸福。原子力にたよらない未来を願い、その実現にむけて行動しよう。今日は、キリスト教、仏教、神道など思想や宗教を超えて集い、震災で亡くなられたすべての方々、これからを生きる子どもたちに思いを馳せよう」と話しました。

佐伯真有美さん(お母さんシンガー)によるライブで盛り上がりました(^_^)/

 その後、田中優さん(環境活動家)が登壇し、「政府は原発が止まって、火力発電による燃料費の高騰で電気料金が高くなったと言っているがそれはウソだ。原油の輸入量は変わっていない。原油が値上がりしている本当の理由は円安にある。アベノミクスにより景気が回復したと言われているが、実際は円安を助長しているだけだ」と述べ、「ただ原発なくせと言っているだけではだめだ。実際に行動しましょう。太陽光を利用すれば十分電力をまかなうことは可能。私も実践している。これまでのライフスタイルを見直さないといけない」と訴えました。

パレード出発はフラダンスに合わせて(*^^)v

 集会終了後、岡山駅前までパレードを行いました。仏教者による、「原発なくせ!」の掛け声を先頭に、「原発いらない」と訴えました。竹ほら貝、太鼓、風船など様々なパフォーマンスで各自原発ゼロへの思いを表しました。また、パレード終了後は岡山バプテスト教会で祈りのつどいが開催されました。

 今回、集会成功に向けて22団体が力を合わせました。その他にもたくさんの団体や個人が「原発ゼロ」の一致点で奮闘しました。また、今年は「脱原発をめざす仏教者ネットワーク岡山」を中心にキリスト教、神道など宗教の違いを超えたとりくみが実現しました。昨年と比較しても、運動は大きく広がっています。

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とき:2014年2月28日~3月1日

ところ:静岡県静岡市グランシップ~焼津市

3月28日~3月1日、核兵器のない平和な公正な世界へ被災60周年3.1ビキニデー集会が静岡県で開かれ、28日には全体集会と分科会が静岡グランシップで行われ1000人が参加しました。

日本被団協事務局次長・木戸季市さん

1日はビキニ水爆事件で「死の灰」」を浴び、「原水爆の被害者は私を最後にしてほしい」と病床から訴えて亡くなった久保山愛吉さんの墓前行進と墓前祭が行われ、2000人が参加しました。

ジョセフ・ガーソンさん(アメリカフレンズ奉仕委員会)

マラヤ・ファブロスさん(非核フィリピン連合)

美帆・シボさん(フランス)

同日、焼津市文化センターで開かれた3.1ビキニデー集会では焼津市長・中野弘道さんが来賓としてあいさつ。主催者報告として、世界大会実行委員会議長団の安斎育郎さんが「ビキニ被災60周年の検証とこれからの原水爆禁止運動」と題して講演しました。

集会は、鈴木裕子さんの二胡演奏、マーシャル諸島からビキニ被災者と交流する第5福竜丸元乗組員の大石又七さんとの現地からの映像と電話での対談、海外代表のジョセフ・ガーソンさん(米)やマラヤファブロスさん(比)、ミホ・シボさん(仏)と日本原水協との対談、参加者のリレートークなど文化行事とともに、平和をと核兵器廃絶を求めるメッセージでいっぱいの企画で、開場は熱気に包まれました。

久保山愛吉さん墓前祭

3月1日の集会では原水爆禁止世界大会議長団であり、国際平和ミュージアムの館長でもある安斎育郎先生(立命館大学教授)が主催者報告を行いました。

二胡を演奏する鈴木裕子さん

海外代表から意見を聞くコーナー(インタビュー形式で)

フィナーレで全員合唱・「ウィ・シャル・オーバーカム」

安斎育郎報告3.1ビキニデーは以下の通り(要約)

安斎先生は、ビキニ水爆実験でわかった事、まだ充分に分からない事と問題提起をしながら、ビキニ被災60年を検証しながら、これからの運動を展望しました。「アメリカが水爆実験をした時の人達は今年で還暦を迎える」と話しを切り出し、「その時の爆発はアメリカが過去にやった原爆の最大のものだ」と爆発の大きさを説明しました。突如、ガイガーカウンターを持ちだして模擬的に線量をはかり出し、「当時、汚染した魚の放射線量を測っていた時に鳴る音がガーガーとして、魚が泣いているようだと表現された」と臨場感を伝えました。それだけでなく水爆は人間の命を危険に陥れました。第5福竜丸23人の乗組員の内、現在の生存者は7名となりました。しかし、この事件を契機に核兵器の廃絶を求める国際的な運動として広がっています。55年に始まったこの運動は世界の平和運動の大きな力になっています。しかし、「当時、被ばくした漁船の数は千隻程度あったとされ、その船がどうなったのか未だに分かっていない」と被ばくの実相は解明されていないことを安斎先生は強調しました。被爆者である事、船が汚染したことが明らかになると仕事を奪われ、生活できなくなるからです。それは、広島、長崎の被爆者と同じ構図でした。「大国は、世界戦略のためなら冷酷にも弱者を犠牲にすることや不都合な情報を隠蔽して、真相を見えにくくする恐れがある」と安斎先生は強調しました。「その為には被災者と広範な市民が連帯して世論を盛り上げ、情報を発信し続けることが大切だ」としました。これからの原水爆禁止運動にとって重要なことは、日本の運動が「核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者援護・連帯」を合言葉に世界の政治を動かそうとしていることです。「核兵器廃絶は世界の声となって核大国を追い詰めている」と話されたことは集会参加者の大きな励みになりました。

岡山代表団全員で

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と き:2014年2月24日(月)12:15~

ところ:アリスの広場前

概 要

 消費税増税反対岡山県各界連絡会は宣伝・署名活動を行いました。春がもうすぐそこまで来ているかのように暖かい中、8人が参加し23筆の署名を集めました。

 マイクを握ったのは県労会議の伊原潔さんで、「政府がこれまで主張してきた財源のため、社会保障のためと言う主張がデタラメであることは、消費税増税といっしょに社会保障の諸制度が改悪されていることから明らかだ。安倍首相は、昨年4~6月の経済指標を判断基準に増税を決めた。しかし、昨年7~9月の経済指標は年率1.1%へ急落し、今も回復を見せていない。景気を本気で回復しようと思うなら増税を中止し、国民生活への直接支援を行うべきだ」と話しました。

また、「『生活を切り詰めており、下着も買えない』『年金の2割が税金や社会保険料に消えてしまう』といった声もある。地域の中小企業からは、『アベノミクスの恩恵などない』『増税を機会に廃業しようか悩んでいる』という声が上がっている。決まったことなのに中止できるのかと考えている方もいると思う。消費税法には附則18条の経済条項があり、景気が悪い時は増税を中止できることになっている。いまこそ政治の責任で増税を中止すべき時だ」と訴えました。

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とき:2014年2月11日(火・祝日)13時30分~

ところ:岡山大学文法経講義棟 10番講義室

第46回「建国記念の日」を考える県民のつどいが2月11日、岡山大学文法経講義棟で開かれました。参加者は約70人、「神々の国に赴任した学芸員」というテーマで森田喜久男さん(島根県立古代出雲歴史博物館専門学芸員)が講演を行いました。

建国記念の日は戦前の紀元節を復活させたもので、明治政府が神話に基づき、この日を初代天皇「神武」が即位した日として、天皇中心主義と軍国主義、侵略戦争推進に利用しました。歴史的には何の根拠もない事が分かっていますが、1966年に自民党政府が国民の反対を押し切って復活させたものです。前回の岡山集会でも「何の根拠もない」ことを歴史の事実から、今津勝紀(岡大文学部准教授)さんが「日本古代史研究の過去・現在・未来」と題して講演の中で解明しました。そもそも神武天皇は元々神話の世界に出てくる人であり、その天皇を万世一系と位置づけるのは無理があると名前由来の研究から紐解きました。

今回は、出雲歴史博物館の学芸員をされている森田喜久男さんが、「古事記や日本書紀が当時の政治思想の産物であることは言うまでもないが、そこには、時代を超えて現代に生きる我々に対して重要なメッセージを発信している」と、当時の人達の世界観を具体的に紹介し、「神話は、物事の始まりを語った物語」だと話しました。森田さんは、「例えばスサノヲとヤマタノオロチでは、スサノウという神がそもそもいかにして生まれたのか?ヤマタノオロチは山の精霊であり、その背中には杉の木が生えている。また。オオクニヌシ神の神名には偉大なる国主という意味で、国をつかさどる支配者という意味があるが、神の従者であった存在が何故神になったのか?そのプロセスの中に地域社会の慣習が浮かび上がる」などを具体例で紹介されました。

森田さんは、島根県教育委員会編『ふるさと読本 いずも神話』や古代出雲歴史博物館の神話シアターの映像制作に関わる中でいろいろなご苦労があったと聞きました。特にシアターの映像については台本の段階ではあまり問題点を指摘されなかったにもかかわらず、いざ映像化された段階でいろいろな「物言い」もつき困ったそうです。研究者としての感覚と行政の感覚とのずれ、さらには地域ナショナリズムとのあつれきに悩まされ、体重が激減した時期もあったとその辛さを吐露されました。そのような中で、市民と結びつき、『古事記』や『出雲国風土記』の神話を読み解説する中で、神話を活かしたまちづくりに関わりを持つようになり、神話研究の新しい方向性を見出すことができたと話されました。「神話と特定の宗教とを結びつける行政の動きに対しては注意しなくてはならない」と話された時はある種の決意のようなものを感じられました。「特定秘密保護法案が成立し、公務員の守秘義務に抵触している部分もありますが…」などと話しながら、ご自身が話しにくいことも率直に語られ、参加者は励まされる思いでした。「4月からは、自分自身の見解を行政に対して言える立場に」との話も添えられ、神話を正確に伝えようとする森田さんの決意のようなものを感じ取ることが出来ました。森田さんが今後も、語り部が語る村人達の「本源的神話」をたくさん発見していただくように期待したいと思います。

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