岡山県労働組合会議

はい、岡山県労会議です。086-221-0133

日付 2018年8月3日

と き:2018年8月2日(木)18:00~

ところ:岡山市勤労者福祉センター

概 要

「種子と食、農を守る岡山県協議会」は種子法廃止によってどのような影響があるのかを考える学習会を開催しました。農業者をはじめ15人が参加しました。講師には舘野豊さん(全国食健連・事務局)を招き、農政を転換し、食・農・地域を守るにために必要なことは何かを学びました。

舘野さんは、「安倍政権の狙いは規制改革推進会議などの意向を前面に押し出し、戦後つくられた家族的農業を破壊し、企業的農業つまり農業の産業化へと変質させることだ。背景には、グローバル大企業による食料支配がある。モンサントなど少数の多国籍企業によって遺伝子組み換え種子が推進され、各地の気候や風土など環境に適した種子の多様性を減少させ、正解中で食料支配を強めている。その集大成がTPP11。食料だけでなく、健康、環境、労働、金融などまでも多国籍企業の利益のために明け渡そうとしている」と農政の状況を語りました。

そして、種子法の廃止について、「政府は、国の管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから廃止するとはっきりと明言している。しかし、種子法があるからと言って民間が全く参入できなかったわけではない。それなのになぜ廃止したのかというと、外国企業の参入を促進するために他ならない」と解説し、「国の責任を放棄し財源支出の根拠をなくすということは、種子生産と安定供給のコストは農家と消費者にしわ寄せがくる。資本力の大きい一部企業に作物を牛耳られることになりかねない」と危機感を促しました。

舘野さんは、「食べ物はわたしたちの命の源。食べ物がなければ人間は生きていくことはできない。この食べ物が一部の大資本に奪われてしまう。そして、地域に生き、暮らしていくことを一層困難にしていくのが、安倍農業改革だ。お互いの力に依拠して闘っていこう」と訴えました。

参加者からは、「なぜここまでされても、JAや農家の大半は自民党支持なのか」「企業による農地買収は何のためか」などの質問が出されました。舘野さんは、「日本の企業は農業で儲かるとは思っていないはずだ。農地を購入しているのは投機が目的ではないだろうか。また、農家の自民党支持者が多いのは事実だが、理由はわからない。それでも、野党共闘の前進が力となり立ち上がる人たちも出てきた」と回答しました。

国連では、2019年~2028年を家族農業の10年にすることを全会一致で決議しました。

国連は、農業の近代化、大規模化による緑の革命を進めれば、飢餓や貧困がなくなり豊かになると政策を位置づけてきました。しかし、農薬や化学肥料の大量投入による環境汚染、化石燃料への依存強化がつよまり、反作用的に穀物価格の高騰、食糧危機が強まってしまいました。

その反省に立脚したのが「家族農業の10年」です。安倍農政改革はこうした世界の流れに反するものであり、日本の国土を破壊するものです。

とき:2018年8月2日(木)18時~

ところ:勤労者福祉センター4階

8月2日、種子法の学習会です。全国食県連から事務局長の舘野豊さんが講師として来てくれました。お話では広島の原水爆禁止世界大会の途中に寄っていただいたとのことです。

毎日が平和運動、災害対策、TPP問題と目まぐるしく変わりますが、これも労働組合ならではの多様性です。舘野さんはとてもやさしく、ゆっくりとお話する方でとても聞きやすく、胸に落ちる内容でした。

舘野さんは昨年5月に食健連の事務局長に就任されたそうで、それでも東京は5年目になるそうです。全国農協労連・岩手の出身であり、「東日本大震災でお世話になった。今度は西日本豪雨災害ではお返しをしたい」と岡山の被災に対して心を寄せました。

グローバル企業は食料ビジネスで「どう儲けようか」と考えている。食料を支配して農業の産業化をすすめている。そうすれば人を支配できると考えているようだ。国内でもホンダ、ワタミ、日産化学、住友化学、キリンビールが代表例だ。世界的にはモンサントが遺伝子組み換え種子で、気候や風土に適した種子の多様性を破壊している。

安倍首相は戦後レジームからの脱却を掲げているが、農業の家族経営を多国籍業のために壊そうとしている。家族経営は企業が参入しにくい仕組みであり、規制改革推進会議を利用しながら企業的農業への転換をはかろうとしている。

政府は食料政策からどんどん手を引き、コメの直接支払い交付金と生産調整制度を廃止してしまった。一方で市民には安全な食料が必要ならお金を出せと言わんばかりに、食の安心と安全、安定供給を放棄して自己責任とした。企業に対して主要農作物種子法、卸売市場法、水道法などで国民の命と、安定した食料供給の仕組みを廃止してしまった。農業協同組合に対しても「農家所得が上がらないのは農協組織があるからだ」と言わんばかりの異常な「値段を下げろ、株式会社にしろ」などのバッシングをしている。普通、生産物の値段を、車も同じだが政府が「値を下げろ」などとは言わない。

私たちは種子法の廃止について注意深く考える必要がある。種子法は「コメ・大豆・麦の優良な種子を安定的に生産し、普及するために国の果たすべき役割」を定めている法律であり、都道府県が良質な品種の選定や、原々種および原種、一般種子の生産と安定供給に責任を持たせるための法律だった。これを国は「国の管理をする仕組みが民間の品質開発意欲を阻害している」として法律を廃止した。つまり企業が儲からないと露骨に言っている。それは単に民間企業と言うよりはTPP11をはじめとした自由貿易を主張するグローバル企業のためだった。簡単に言えば外国企業の参入促進のためだ。

それでは私たちの食料や食卓はどうなるのか?安定供給のコストはすべて生産者と消費者に上乗せされる。資本力の大きな企業に種子を握られ、種子の価格が自由に値上がりするという異常な社会を迎えることになる。

卸売市場法の改悪も同じで、本来、市場に持ち込まれる生鮮食料品は「卸業者」を経て「仲卸業者」に販売される仕組みだ。さらに目利きとするブランド力で、食料全体の価格の安定を下支えてきた。ところが「卸業者」が直接スーパーなど商社に販売できるようにした。大量仕入れで、優位な価格で取引される結果、価格も自由となり安定供給という仕組みは崩壊する。そうなれば漁業者も不当な買いたたきで収入源となる。メジャーが市場を独占して食料支配が強まる。商店街は食料品が回らなくなって廃業に追い込まれる。

こうして種子法の廃止や卸売市場法の改悪は、その地域に生き・暮らすことを困難にする仕組みだ。さらにTPP11は国民の未来を奪う重大で危険な協定であり、何故、日本政府は国内農業を大切にしないのか?と疑問に思うだろうが、元は国連が大規模農業をすすめ、日本はアメリカに逆らえない仕組みから脱却できていない。食料を守ろうとする運動は全国に広がり、野党も復活のための共同提案をしている。そうした運動が政府と国民の矛盾をいっそう深めているとしました。

世界は家族農業に戻ろうとしている。国連は2014年を国際家族農業年とした。改めて家族農業が見直されている。

 

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