12.2 2012年国民春闘討論集会
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ところ:東京・全日通会館会議室
概 要:
「ウォール街占拠」運動は、格差・貧困に苦しむ人々の心をとらえ、全世界に広がりを見せています。1%の富裕者による行き過ぎた投機活動への規制強化要求は世界の指導者からも支持されています。日本でも大企業や資産家に富が偏在し、賃金・雇用・社会保障が切り下げられ貧困と格差が拡大する社会となっています。こうした中、全労連・国民春闘共闘委員会から基本的な情勢性認識と闘いの構えが示されました。
主催者を代表して国民春闘共闘代表幹事・大黒作治さん(全労連議長)は、「日本全体でみれば大企業が横暴を極めています。この1年間で内部留保は240兆円から257兆円に増え、手元資金は60兆円に達しています。大企業の横暴を断ち切って中小企業への還元。また、多少の賃上げ要求では追いつかない増税と社会保障の改悪攻撃があり、賃上げ要求をかかげ、みんなで確認し合う作業を進めることが大切だと思います」と参加者を激励しました。
続いて、国民春闘共闘事務局長・小田川義和さん(全労連事務局長)から2012年国民春闘方針が提案されました。野田内閣は財界主導のもと、TPP参加に向けて関係国との協議に入ることを表明し、税と社会保障の一体改革を進めるなど、財界要望の政策化を一気に進めています。さらに、労働者派遣法改正法案は民自公3党の改悪合意で登録型派遣や製造業は県の禁止が削除される事態が生じています。小田川義和さんはこのような特徴的な情勢を受け、「2008年度で、GDP(国内総生産)に占める輸出の割合は15%で、国内消費58%の4分の1程度しかありません。日本は内需中心の経済であることを強調し、企業の国際競争力強化より内需拡大が急務であることを強く主張し、財界・大企業の攻撃をはねかえす世論を高める闘いにつなげましょう」と話しました。これからのとりくみについて、「①ディーセントワーク署名、社会保障拡充署名にとりくみ、全労連未加盟組織へ賛同と協力要請を行う。②原発依存、エネルギー消費社会に決別を求める取組を全国で展開し、24時間型社会の規制を求めるキャンペーン運動を行う。③被災者を中心とした震災復興を位置づける。被災地域の組織再建、雇用確保、住み続けることのできる地位社会の復興をめざす」と話し「安心社会をめざす大運動」にこれら3つの課題で着手するとしました。また、「地域の中小企業の振興と労働条件改善署名を携え、中小零細企業・事業者・事業者団体への申し入れ行動を各組組織に目標をもってとりくんでもらいたい」ことも話しました。最後に、「職場と地域で『目に見え音が聞こえる春闘』をつくりだし、組織の強化・拡大につなげる春闘とする」と小田川義和さんは強調しました。
全印総連書記長・大原つくるさん、東京春闘共闘事務局長・高畠素昭さんの2人から特別報告がありました。大原つくるさんは「生活実態を数字でリアルに見せ、共同を広げ、要求実現を阻害するものとたたかう2012春闘」と題し生計費実態調査を行い、過去5年間のデータを用いて必要生計費を算出したことが報告されました。「4人世帯では約455,000円/月、単身世帯では233,000円/月が必要という結果になりました。この結果に基づいて、春闘要求を徹底させることとしました」と話しました。
高畠素昭さんは「春闘とは何か」「労働組の原点は」と考えることが大切だとし、「統一行動といっても実際には10ヶ所程度の行動にしかなっていない。広い東京でも宣伝は非常に小規模に行われている。情勢は労働組合に対して不利になっています。私たちがバラバラに行動していては勝てるわけはありません」と新しい情勢に対して古い対応になっていることを指摘し、旺盛な宣伝活動を行うこと、各団体・自治体・官庁・主要企業への要請を行うことも必要だとしました。
全体討論では、「労働者の生活の実態を掴んで要求を作り出すことが必要である」「パート労働者処遇改善要求を強化すること」「社会保障の拡充を求める断固とした闘いを現場の要求と一緒につくること」「男女賃金格差の改善を盛り込んでほしい」などの発言が相次ぎました。
今回の国民春闘討論集会では活発な意見が多数ありました。今回の討論集会の結果を地方での春闘にも反映させ、財界・大企業の攻撃に負けず大胆に要求を掲げましょう。