5.29無言館館長窪島誠一郎さんの講演感想
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とき:2011年5月29日(日)
ところ:三木記念ホール
概要:
長野県上田にある「無言館」館長窪島誠一郎さんの講演が行われました。講演で窪島誠一郎さんは自身の半生を振り返りながら無言館設立の経緯を話ました。
講演をする無言館館長窪島誠一郎さん
無言館を作った経緯について、「いまから30年ほど前の夏、野見山暁治さんが作った〝祈りの画集″という一冊の本に出会ったことです」とされました。この画集には戦争の犠牲になった画学生の絵が収められています。しかし、窪島誠一郎さんはその画集の絵からは何の感動もなかったと言いました。しかし、その本を作った野見山暁治さんには強い興味を抱いたとのことでした。窪島誠一郎さんが野見山暁治さんに話を聞いたとき野見山暁治さんは「あの当時でさえ痛んでいた彼らの絵が今どうなっているのか気がかりだ」と述べました。その言葉はまっすぐ窪島誠一郎さんの心に響きました。いてもたってもいられなくなり野見山暁治さんのもとを訪ね、「まだ間に合います。先生の仲間の絵を探しましょう」と訴えたそうです。しかし、野見山暁治さんに、「君は自分の言っていることに責任が持てるのか。第一君には戦争体験がないではないか」といわれ門前払いを受けてしまいました。窪島誠一郎さんは「私にも戦争の記憶がありました。しかし、戦争で私は苦労したことはありません。苦労したのは私の両親です。戦争で何の苦労をしたのかと問われると沈黙するしかありません」と話しました。それから約4か月間、手紙を書き続け、ようやく野見山暁治さんから協力を得ることができたそうです。「いまでも私は、あの時どういう気持ちで野見山暁治さんのもとを訪ねたのかはわかりません。そのとき私が考えていたことは自分が生きてきた50年間のことではなかったかと思います。私は世の中カネだと思って生きていました」と館長窪島誠一郎さんは当時を語りました。
講演を聞いて、野見山暁治さんに対する窪島誠一郎さんの憧れを感じました。野見山暁治さんの〝祈りの画集″に出会い人生が大きく変わることになった窪島誠一郎さんは、心のどかで野見山暁治さんを追い続けているのかもしれません。戦争の犠牲になった画学生の声に耳を傾けることで、自分の人生のすべてをかけることのできる何かを見つけたいとの思いが無言館設立につながっているのではないかと思います。
県労会議・弓田盛樹