8.21自治体問題研究所・講演会
0 Comments | Posted by kiyoshi in 活動日誌, 自治体問題研究所 |
とき:2017年8月21日(月)18時30分~
ところ:勤労者福祉センター4階会議室
8月21日(月)、自治体問題研究所は小松泰信(岡山大学院環境生命科学研究所)さんを講師に迎え恒例の研究会を開きました。テーマは「農業の現状と安倍政治」です。参加者23名でした。
冒頭に小松さんは「自分は安倍首相が嫌いだが、彼のおかげで皆さんにお会いすることができた。長崎県で生まれ、京都大学院で学び長崎県の農協に勤務した。1989年に教員をしたのを契機に1997年岡大農学部に入った」と自己紹介しました。
農業を取り巻く環境について、新聞赤旗の記事などを紹介しながら、「農業は長期低迷の食料自給率だ」として具体的な話しに入りました。「日本の食料自給率は38%であり、これは人間一日の必要摂取量2500カロリーから見ると小学生くらいの量だ。しかも農業従事者は47%超が70才であり国の責任は大きい。農協を悪く言う人もいる。確かに100%の組織じゃないがそんなに悪くはない。国の経済発展の法則から考えれば、農業が衰退していくのは当たり前。農業などの第1次産業で蓄えた資本力が第2次、3次に移されるのは法則であり、農水産省は強い農業などというができるはずがない。だから国の支援が必要。アメリカやヨーロッパでは当たり前のことだ。小規模の販売農家は10年間で32%も減り、基幹農業従事者は175万になった。安倍首相のいう儲かる農業はごく一部の法人・企業だけで、それだけでは食料自給率を向上させ、持続可能な農業・農村を実現することはできない」と話しました。そこで小松さんは農村社会観が展開して、「農村は基層領域と表層領域がある。表層領域には食料の販売機能であり、経営や取引・運営と言ったもので農業経営などがある。農業が分散すると弱くなる。団結・協力しないとやれない。他方、基層領域は集落組織であり地域の保全管理、コミュニティーであり、伝統文化や防災、神事などがある。これが大事だ。これらは着土と言って土地に起きることを意味する」と説明しました。
さらにグローバル企業について。「は世界を市場にしてフロンティアと言えば聞こえはいいが、市場を探し食い漁っている。世界の市場は危険なところが多いが日本の農業市場は彼らにとっておいしい市場。JA共済は300兆円、JAバンクには100兆円が眠っている。彼らはこれを狙っている。農業競争力強化支援法の廃止、種子法の廃止で、農業者の努力を促し、輸出できる農業などと言っている。そんなことができるはずがない。むしろこれまで開発・品種改良に向けてきた技術さえ外国に提供しようとする政府のやり方は異常。安い農産物をつくろうとすれば大量の農薬が散布される。手間暇かけ安全な農産物をつくろうとすると高くなる。消費者に対しても理由を説明すべきであり、農業こそ岩盤規制が必要だ。自分は農業の使命を考えるとキーワードは生命の連鎖性だと考える。超長期の産業が農業であり、成長産業から選別すべきだ。農業への支援はバラマキというがそうではない。あまねく保障という言葉がある。選択と集中など政府は聞こえのいい言葉で簡単に言うが選ばれなかった人はどうなるのか?食料主権ともいうが市場にこだわらない。農業の基礎代謝を守ることに重きを置くべく」と強調しました。
70分間のお話でしたが、熱弁に圧倒され、飽きさせない口調に引き込まれました。最近注目される岡大の先生ですが、退官まで7カ月だそうです。
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