岡山県労働組合会議

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11・7-8 介護学習決起集会&介護ヘルパーネット第11回総会

と き:2015年11月7日(土)~8日(日)

ところ:東京都内

概 要

 

2015年4月から介護報酬が改定されました。今回の報酬改定は加算を取得しても各事業所、特に小規模事業所の経営に困難な事態となっていること、労働者の処遇改善に必ずしもなっていないことが指摘されています。また、特別養護老人ホーム入所対象者が原則「要介護3」以上となったことや、一定の所得の高齢者の利用料負担が8月から2倍になったことなど、利用者・家族にとって介護が利用しづらい状況となっています。このような現状を改善し、介護崩壊を食い止めることを目的に全国から130人が集まりました。

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全労連から根本さんが開会あいさつを行い、「4月に介護報酬が改定されたが労働者の状況は厳しいままだ。今起こっている事態は、人手不足や利用料が支払えないなど、介護崩壊の進行だ。政府は自助・共助を強調し、国の責任として介護を行う公助の部分を欠落させている。介護制度を充実させるためには、労働者・利用者・経営者が一体となってとりくんでいかないといけない」と話しました。

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その後、林泰則さん(全日本民医連事務局次長)による基調講演が行われました。林さんは、「医療・介護一体となって福祉全体が変貌させられようとしている。安倍政権は、国の責任による生活・生存の保障を家族・国民相互の助け合いに変え、自助・共助・連帯の社会保障へ帰ることが狙いだ。権利としての社会保障を解体するものだ。社会保障制度改革推進法は憲法25条の解釈改憲に他ならない」とし、「総会後費抑制と給付の重点化で4つの切り捨てが始まった。①予防給付が見直され市町村事業へと変えられた。水際作戦や専門職のサービスをボランティアへの置き換えが行われる。②一定以上の所得者の利用料の引き上げ。③特養機能の重点化。要介護1,2は特養ホームから追い出されることになる。④補足給付の要件厳格。タンス預金までも申告の対象となり、徹底した資産調査が行われる。これらの改悪で、低所得者は施設から締め出され、待機者にすらなれないという事態が起こることになる。さらに、過去最大級の介護報酬の引下げ-2.27%で、2025年には37.7万人も介護人材が不足すると推計されている。一体、政府はこの事態をどう解決していこうとしているのか。介護保険制度はすでに破綻している」と介護崩壊が本当に深刻な事態にきていることを強調しました。

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その後、パネルディスカッションが行われ3人からお話がありました。まず初めに松下より子さん(公益財団法人・認知症の人と家族の会)で、「私たちは当事者であること、家族はどう思っているのかを伝えることを大切にしている。認知症の方を抱える家族にはまずは相談できる場が必要。介護をするのも娘・息子というケースが増えており、その多くは未婚だ。老老介護の場合、年金を受給しているケースが多く、介護保険料が支払えなくなる人も多い。相談してくる人は何とか救うことができるが、相談できずにどうしたらいいかわからず悩んでいる人の方が多いのが現状だ」と話しました。

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続いて、本間則子さん(東京民医労東京勤医会支部)は、「介護労働者の過酷な労働環境は変わらないままだ。職場の7割以上が非正規で、利用者への訪問時間に応じて給料が発生する時給制だ。そのため人が集まらない。必要なのは介護報酬の引き上げと、国の負担を増やすことだ。介護は家事代行ではない。高齢者の自立を促すために、そばに寄り添い援助することにある」と訴えました。

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最後に、宮長定男さん(社会福祉法人泉湧く家・理事長)は、「介護の世界を変えるためには経営者の現状認識と意識が変わらないといけない。介護報酬が改定されたことで、単純計算すると全国のグループホーム事業所で月24万7千円の減収となり、年間で約295万円の減収だ。政府は介護離職ゼロ、質の高い介護サービスというがやっていることは真逆だ。介護が日本社会の生産性を支える仕事と認め、国と自治体の公的役割を果たさせるために声を上げていくときだ」と述べました。

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パネルディスカッション終了後、介護制度の充実を求めた署名を拡げ、利用者・事業者団体と共同で運動を展開することを柱とした行動提起が行われ、集会は終了しました。

二日目は介護ヘルパーネット第11回総会が開催されました。総会ではまず、「2015年度介護報酬改定・処遇改善加算による介護労働者の賃金・処遇アンケート」の中間結果報告が行われました。

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中間集計の結果、①介護職場は全産業平均と比較すると月額8万1千円も賃金水準が低い。②月収は増えても一時金が減った。一時金は増えたが月収が減ったという人もおり、月収・一時金を合わせた処遇改善は6人に1人にすぎない。③8割を超える労働者が処遇改善を実感できていない。④4割の労働者が「不満」を感じ、5割が「辞めたい」と思っている。⑤年齢分布をみると、平均5.7年で離職し、若い職員の確保と定着ができていない。以上の5点が主な傾向として報告されました。

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その後、北垣智基さん(大阪健康福祉短期大学・介護福祉学科講師)による講演が行われました。北垣さんは、「あるとき介護実習に行った学生が報告の準備をしていた。学生が言うには、自分の働きかけ次第で相手の反応が変わることを知ったとのこと。介護とは日常の関わりを通して、生きづらさを抱える人の姿や生活に変化を生み出していくことだ。このことを学生は知ったのだと思う。変化を生みだすためには、コミュニケーションと専門性が不可欠。コミュニケーションを通じて信頼を獲得することができる。そして、一人ひとりのニーズや思いの把握をするのが介護士としての専門性となる」と介護とは何かについて語り、「介護保険制度の導入によって、利用者の生活全体を見渡す支援から、細分化され、過重な業務になっている。そして、介護報酬の引下げは、労働者が望んでも働き続けることのできない構造に拍車をかけている。介護は権利の保障であり、生きる力を引き出すことにある。今行われているのは全く反対の事態だ」と訴えました。

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議案の提案が全労連・根本さんより行われ、国に対して処遇改善を求める取り組みを全国で展開し、介護に「笑顔」と「希望」キャンペーン運動を進めることが提案されました。議案は満場一致で採択されました。

 

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