日付 2012年9月3日
と き:2012年8月31日(金)18:00~
ところ:広島県・東区地域福祉センター
内 容:
全国学習交流集会in倉敷・広島実行委員会は「非正規雇用問題」に関するシンポジウムを開催し、10年後の働き方について考えました。青年を中心に40人が参加し、有意義なシンポジウムとなりました。
コーディネーターの佐々木宏さんは、「私は広島大学で教育福祉論を研究している。教育福祉論は学校教育と貧困問題を扱う分野。いま非正規雇用は豊かでない家庭で育った子どもが社会に出た後の受け皿になっている。そういった点に関心がある」と開会にあたりあいさつをしました。
その後6人のパネリストが順次問題提起を行いました。松岡幸輝さん(広島法律事務所・弁護士)は、「非正規労働者の問題は2点ある。正規と比べて明らかに賃金が低いことと、技術の習得が困難という点が大きな問題だ。非正規の場合は一般的に正規職員よりも賃金が安く、一時金がない。退職金がないなどという話もある。正規職員と同じ仕事をしているにもかかわらず、賃金に差があるというのはおかしいと思われる。労働者にはキャリアを高める権利がある。しかし、日本では認められていない」と問題提起を行いました。
大橋隆行さん(ヒロシマ青年革新懇事務局長)は、『若者の生活と仕事に関する実態調査』アンケートの結果報告を行い、「未婚が80%を超えており、実家暮らし46%を占めている。総支給額は20~29万円が最も多かった。若者の貧困化が見える」と話しました。
大内理枝さん(広島県労連パート・臨時・嘱託労働組合連絡会会長)は、「学校給食の現場では正規の職員が1~2名。残りはすべて非正規。また、保育の現場では半数以上は非正規で働いている。保護者からしたら正規・非正規は関係ない。区役所の案内も嘱託職員だ。住民サービスの最前線で働いている職員が非正規というのは問題」と公務現場の実態を話しました。
山地恭子さん(広島共立病院相談室・医療ソーシャルワーカー)は、「まず正規・非正規に関わらず、医療費に関する相談がない日はない。若い人からお年寄りまで変わらず相談がある。しかし、最も困難なのは非正規労働者であると思われる。入院して病気をしたら即解雇などということが後を絶たない」と話し、「最近の相談例に、非正規で働きながら親の介護をしていた人がいます。しかし、非正規であるために医療費の支払い、葬式費用が困難というケースもある」と切実な実態を訴えました。
佐々木路生さん(広島県生活と健康を守る連絡会)は、「非正規という問題について、所得が低く抑えられているという問題。経験の蓄積ができないという問題。さらに、社会との繋がりを絶たれているという問題がある。私たちのもとに相談に来る人たちは、本当に社会との繋がりを失っている人が多い」と話し非正規という働き方により社会的つながりが絶たれていることを訴えました。
居神友久さん(広島県民主商工団体連合会事務局長)は、「大企業1万2000社、中小企業は420万社が存在する。従業員数で言えば、大企業1196万人、中小企業4200万人という構造になっている。日本の中小企業の果たす役割は数字から見ても大きいと考えられる。しかし、バブル崩壊、規制緩和により中小企業の経営は厳しさを増している。モノづくりの技術を継承するためにも非正規という働き方は考えられない」としました。
会場からは、「大企業による値切りや、大企業優位の法改正など大きな問題ではあるがもっと根深いものがあるのではないか」「労働者は正規、非正規と分断され、労働者として結集することが困難な状況にある」などの意見が出ました。
最後にまとめとしてコーディネーターの佐々木宏さんは、「日本が高度成長していくことが見込める場合、問題解決は難しくない。しかし、経済は成熟してきている。今は誰かが負担しなければ問題は解決できない構造になっている。いま運動のできる人が声をあげ、運動に参加し、弱い立場にある人が運動に参加し、声をあげることができるようにしないといけない」と話しました。
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