連想分類語 労働安全衛生
と き:2015年9月6日(日)10:00~
ところ:岡山市民会館
概 要
岡山県労働組合会議青年部はハラスメント学習会を行いました。今回の学習会には22人が参加しました。ハラスメントが社会問題とされて久しいですが、何がハラスメントになるのか、どうしてハラスメントが発生するのかなど判断基準とそのメカニズムは曖昧です。今回の学習会はそうした疑問に答えながら、ハラスメントを防止するためにできることの基本を学びました。
講師には大槻久美子さん(産業カウンセラー)をお招きし、事例検討も含めた学習会を行いました。大槻さんは、まず働く人々のストレスについて、「仕事や職場での悩み、ストレスは年々増加傾向にある。統計上その原因で一番多いのが人間関係だ。しかし、ただ単に人間関係だけが原因ではない。仕事の量と質も大きく影響する。仕事が増えれば誰もが(精神的・時間的)ゆとりを失うことになる。そのため対人関係を培う余力も失われていくことが考えられる」としました。パワーハラスメントについて、「平成25年の労災請求件数は過去最高の1409件だった。その内支給決定された件数の436件が精神障害だ。その内容は、嫌がらせ、いじめ、暴行を受けたというもの。平成22年度からいじめ・嫌がらせによる労働紛争は増加傾向にある。パワーハラスメントは一部の企業や労働者だけの問題ではなく、どの企業、労働者にも関係する可能性のある問題だ」と述べました。
職場で多いハラスメントにはセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、モラルハラスメントがあります。これらは全て人格権侵害に値します。しかし、どこからがハラスメントになるのでしょうか。近年ハラスメントという言葉が一人歩きをしているという指摘もされています。大槻さんは、「セクシャルハラスメントは『優位な地位や力関係を利用して、相手方の意に反する性的言動を行い、それへの対応によって、学習、教育、研究、就労する上で利益または不利益を与え、労働環境を損なうこと』という定義がある。そして、セクシャルハラスメントについては雇用管理上の防止措置が義務化されている」とし、「パワーハラスメントは『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』という定義がある。受手側にとって嫌がらせとなれば、問題になる可能性は大いにある。だからこそ、全職員が認識を共有していかないといけない」と解説しました。
大槻さんはパワーハラスメントについては厚生労働者が制定した基準などから7つの判断井基準として、①明確な違法行為又は違法行為の強要か ②業務上の地位または優位性を背景にしているか ③本来の教務の適正な範囲を超えた行為か ④継続的で執拗な行為か ⑤人格と尊厳を侵害する言動か ⑥就労者に身体的、精神的苦痛を与えているか ⑦就労者の働く環境を悪化させているかの7点を示しました。その上で、「具体的には、私用を命じる、怒鳴るだけで改善指導がない、達成不可能なノルマを課すなどがあり、業務上合理性のある叱責であれば適正な範囲とされる。そして、口裏を合わせて一人の人を追い込んでいくような行為の場面を見て見ぬふりすることは加害者と同じだ」と訴えました。
ハラスメントの発生しやすい職場については、①閉鎖的な職場 ②無関心な職場 ③忙しすぎる職場 ④管理職の指導力の欠如 ⑤個人業務の多い職場 ⑥成果主義・能力主義の7点がポイントとして示されました。ハラスメントを発生させないためには、「ハラスメントをしている職員には自覚のない場合が多い。客観的な視点で、実態を把握すること。そして、ハラスメント問題は目には見えないため、一人で抱え込まなくてもいい環境を作らないといけない。そのためにも、お互い気持ち良くコミュニケーションできるようにし、意思表示のできる職場づくりを進めることだ」と講演を締めくくりました。
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と き:2014年6月21日(土)~22日(日)
ところ:国際交流センター
概 要
いのちと健康を守る第6回中四国セミナーが6月21日~22日の日程で、岡山市岡山国際交流センターで開催されました。203人が参加しました。
開会では、現地実行委員長山本勝敏さん(弁護士)があいさつを行い、「日本の大企業は海外進出して、低コストの製品を逆輸入し、規制緩和、市場原理で働くもののいのちと健康を破壊しようとしている。これに対するたたかいを強めよう」と挨拶しました。
続いて、全国センター中林事務局次長が、「集団的自衛権容認、残業代ゼロをはじめ安倍政権が暴走しようとしているが、それに対する批判も大きく広がってきている。ここに集まったみなさんにいのちと健康を守る運動を進める中心になってもらいたい。そのためにも全県の地方センター結成をすすめている」と話しました。
全体会では労働科学研究所の佐々木司さんが講師となり、「夜勤は有害『保護と規制は当たり前』を世論に」と題した講演を行いました。佐々木さんは、「夜勤労働者は、全体の約2割しかなく労働実態がよく知られていない。人間は、夜に睡眠するという生理的なリズムがある。そのため、夜勤をすることでリズムが崩され、ストレスが蓄積して、健康を乱すことになる。夜勤は酒酔い状態と同じ程度の集中力しか発揮できない」と話し、「大切なのは労働を時間で考えるのではなく時刻で考えることだ。安全性に大きな危険があり、頻発する夜間高速バス事故問題、夜光の青色光はがんの原因となり、デンマークでは看護師の乳がんが労災と認定されていること、週末の連休も取れず、夜勤入りの前には遠くにも行けず、社会生活が崩されている実態など、こうした夜勤労働の弊害を広く訴えることが必要だ」と強調しました。
また労働環境の改善について、「改善策は3つ考えられる。勤務制度や人員を補充すること(システムの改善)。やらなければならないことを改善すること(ワークの改善)。やることとやらないことを決めること(ジョブの改善)。大切なのはシステムの改善よりもジョブの改善だ。看護現場に関して言えば、看護は24時間の仕事、そして看護と看護労働は違う。過剰看護になっていないだろうか」と最後に話しました。
続いてのミニシンポでは、福田幸恵さん(岡山医労連委員長)が看護師の実態とたたかいを報告しました。「厳しい夜勤に入る看護師が少ないために、自分が病気でも休めず、点滴を入れながら、患者を看護することもあった。子どもが急に病気になっても休みが取れないことがとてもつらかった」と実態を報告し、夜勤月8日以内を目指してきたたたかいの歴史と到達を発言しました。
その後、JRの実態を片岡公夫さん(国労岡山地本書記長)が報告。組合つぶしの攻撃で会社の利益第一の一方的な労働時間が押し付けられ、勤務間隔が4時間、1回の運転が30時間になるなどの実態となっていること、これへのたたかいが報告されました。
講演会終了後は7つの分科会に分かれました。2日目の閉会集会では各分科会から報告が行われました。
第1分科会「職場のストレス、メンタルヘルス対策を考える」からは、「近年精神障害による労災認定、自殺が増加している。職場のストレス、ハラスメント、人間関係など様々な要因が考えられる。労働者の権利を周知し、働きやすい職場づくりを進めないといけない」と報告がありました。
第2分科会「学校にローアンの風を」からは、「教師のメンタル不全は直ちに改善しなければいかない状態にある。改正労働安全衛生法の活用や職場改善などを進めないといけない。長時間過密労働をどう解決していくのかについて討論では議論が盛り上がった」とのこと。
第3分科会「夜勤・交替制労働を考える」では、「時間でなく時刻で捉えること、ジョブ型への移行などの質問が相次いだ。夜勤が生活給になっている人がいること、そもそも夜勤をどう減らすかについても活発な意見が出た」と報告がありました。第4分科会「有害物質、じん肺・アスベスト闘争の到達点と課題」からは、「裁判闘争の報告や全国からの教訓など活発な議論が行われた」との報告がありました。第5分科会「基礎講座、安全衛生の基礎と委員会活動」からは、「今の労安法は現状に合わなくなってきていることや、労働安全衛生委員会の形骸化など、マニュアル的なものになっている。職場から出る声を活かした活動にしないといけない」との報告でした。第6分科会「ブラック企業と過労死、家族、支援のたたかい」から、「そもそもブラック企業とは何かを踏まえ、どうたたかっていくべきなのかを学んだ。結論としては労働組合の存在が不可欠になるとのことだった」と報告がありました。第7分科会「腰痛などの予防対策」からは、「腰痛は発生率の高いものになっている。腰痛予防指針では作業管理、作業環境管理、健康管理、労働衛生教育の4つのポイントがある。まずは指針の内容を労働者自身が理解し、職場に広めていかないといけない」と報告しました。
閉会あいさつを藤田さんが行い、「大飯原発差し止め訴訟の判決文で、個人の生命・自由・幸福を追求する人格権は経済活動を上回るとあった。今まさに安倍政権によって人間の命と生活が経済活動の名の下に侵害されている。断固としてたたかっていこう」と話しました。
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とき:2013年6月1日~2日
ところ:広島市アークホテル
いのちと健康をまもる第5回中四国セミナーが6月1から、2日間の日程で広島市内のホテルで開幕されました。このセミナーには中四国各県から156人が参加しました。
いの健広島・青木会長
開会では、現地実行委員長で結成10周年を迎えた広島「いの健センター」の青木会長が挨拶を行い、「10年前にセンターを結成して、西日本セミナーを開催したが、今回こうして中四国ブロックセミナーと発展している。最近、原発被ばく労働者を診察したが、原発も国民のいのちと健康を脅かすもので、被爆地としても原発反対の運動に連帯したい」と話しました。
全国センター・福地理事長
全国センター福地理事長は、「15年を迎えた全国センターの中長期の展望を検討しているが、活動家の育成が課題だ。セミナーの強化や『カレッジ』などを検討している。もう一つは、全国に地方センターを確立することであり、現在27のセンターになっていますが、早期に全国の都道府県に確立したい」と抱負を語りました。
社会医学研究センター理事・村上剛志さん
基調講演では、東京社会医学研究センター理事の村上剛志氏が、「ここまできた労安活動の成果と今後の課題」とする内容で話しました。
全体の様子
村上さんは、日刊工業新聞社で職業病を闘う中で、労組組合員を6倍化しながら労災防止指導員としても活動してきた経験を話しました。村上さんは、「安全と健康を守ることは民主主義の原則であり、すべての人類は平等かつ独立した存在であり、何人も他人の生命、健康、財産を傷つけるべきではない」とする英国のジョンロックの思想と健康権が、米独立宣言、仏人権宣言、世界人権宣言、日本国憲法に生かされた。
1972年、財界の反対を抑えて労働安全衛生法ができた。その65条3を引用して「安全配慮義務」の判決が出され、71条の2から快適環境形成義務が事業者に生じている。国際労働基準ILO条約、ISOなどで国内事業者に規制をかけられる状況が大きく進んできた。政府も安全衛生法改正、メンタルへルス対策の通達・指針、労働契約法に安全配慮義務を明記した。これを受けて、学校や看護分野などで勤務実態が把握され、労働安全衛生やメンタルヘルスへの対応が進みつつある」と話しました。
分科会・安全衛生委員会の活動
講演が終わると参加者は6つの分科会に分かれて2日間議論を行いました。このセミナーは来年、岡山で開催されます。
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