岡山県労働組合会議

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月別 2015年2月

とき:2015年2月11日(水)14時∼

ところ:岡山大学文法経講義棟 10番講義室

テーマ:歴史から神話と現代を考える2

講演「考古学と記紀研究」

講師:菱田哲郎さん(京都府立大学文学部教授)

報告:教科書に取り上げられた神話

報告者:村田秀石、古市秀治さん

2月11日、「建国記念の日」を考える県民のつどいが開かれ78人が参加しました。つどいでは菱田哲郎さんが「考古学と記紀研究」として講演を行いました。菱田さんは冒頭に、「建国記念の制定をめぐって、それが数百年、数千年の昔のこととなると、無所露諸伝の中から真実を探し出すことの方が難しいとして、神武天皇が紀元前660年に即位したとか、その日が1月1日であったというのは明白な造作にすぎない。中国でさえ満足な歴がなかった時代に、日本で暦を使用できるはずもなかった。紀元前6世紀と言えば、日本人は農業さへ知らない、縄文時代の狩猟採集の生活を送っていた時代だ。建国記念日の第1候補として2月11日を推す人は、実は第1代天皇が、その程度の未開人であったことを主張する事になる」と小林行雄さん(建国記念日雑感・京都大学新聞)を引用して、神話教育を是認する人が多いとしてもそれは大きな困難を伴うとして、考古学の観点から批判しました。

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菱田哲郎さん(京都府立大学文学部教授)

その上で考古学の観点から、4世紀以前の日本人の服装についても信頼できる知識を持っていないのが考古学の現状だとしました。そして、神話に基づく神々や英雄の像を視覚化して表現しようとすれば、それは非科学的なものになってしまうとしました。

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考古学では神社が原型が表れたには5世紀後半であり、古墳の中にその祭祀具が見られるとしました。在地勢力の協力のもとに、伊勢にヤマト王権が祀られる祭祀施設として整備された場所が内宮の地であり、それが5世紀後半だと説明しました。三輪・石上・出雲・大宮売でも境内から5世紀の祭祀具が出土しているとしました。

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古事記に出てくるイザナギ・イザナミはさまざまな神々を生み出したが、イザナギは死んだイザナミを探して黄泉の国へ赴くが、イザナミは変わり果てた姿になっていたため、おののいたイザナギは逃げたとする話の中に黄泉戸契(ヨモツヘグイ)という言葉が出てくる。黄泉の国の食べ物をさすが、こうした話に出てくる黄泉の国は「九州の横穴式石室が舞台になった考えられると話しました。実際には6世紀の古墳が記紀神話の舞台になり、神話成立に寄与したと考えられるとしました。

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村田秀石さん

考古学は材料を豊富に提供している。分権の記載に乏しい地域の歴史に光を当てるものだ。その地域史の読み解きの中で、文献との整合性が計られるとしました。日本書紀に出てくる仁徳天皇即位前期には古代出雲の実像を知る上で興味深いと最近の研究を紹介しました。いづれにしても古事記は5世紀の地域の記憶であり、記紀の中への投影だとして天皇史観の脚色だが地方豪族の伝説の世界とも言えると興味深く話しました。

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とき:2015年2月7日13時~16時30分

ところ:勤労者福祉センター3階小会議室

地域人権問題研究集会の分科会が午後から開かれ、労働問題を考える分科会には16名が参加しました。今回の研究会では「山口県のマツダ自動車で働く派遣労働者が2008年に解雇され、これを違法な派遣切りとして17人(後に15人となった)が山口県労連の支援で裁判を闘い、勝利ともいえる和解を勝ち取った経過の中で、派遣労働の実態に迫ると同時に、憲法と労働組合の関係、雇用環境を守る国民と結びついた労働運動の強化など」が議論されました。経過の説明と問題提起は県労会議の伊原事務局長が行い、法的な背景は労働相談員をしている藤田さんが行いました。

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伊原事務局長はマツダ裁判の経過や勝利的和解をもたらした要因について、「2008年のリーマンショックで自動車産業が減産を余儀なくされる過程の中で、マツダ自動車は1600人もの派遣労働者を切り捨てた。山口県労連が配るチラシを見て、野宿生活や車上生活を余儀なくされていた派遣労働者が労働相談をきっかけに、派遣法の違憲性や企業の身勝手さに怒りを持って立ち上がった。しかし、経済的にも不安定な派遣労働者が裁判を闘うのは困難。そこに労働組合の支援があった。全国から1万近い署名と募金が寄せられ、山口と広島の県労連が全面的に支援した。山口地裁は判決で13人に職場復帰を認める判決を出し、控訴となった広島高裁で15人を救済する和解となった。派遣法では、3年を超えて雇用を継続するのは違法であって、派遣先企業は派遣労働者を直接雇用しなければならない義務が生じる。しかし、実際にはこれが履行されたケースはない。その障害となったのが松下PDP最高裁判決で、特段の事情、つまり派遣先と労働者との契約はなくともあたかも契約が存在しているかのような黙示の労働契約が証明されない限り、直接雇用されることがない、と言うことです。マツダは派遣労働とサポート社員期間を通じて派遣労働法に違反していただけでなく、請負契約にも拘らず、派遣先は直接指示命令をしていたことが裁判で実証され、山口地裁で断罪された。この裁判は違法性を明らかにしただけでなく、労働組合の支援がなければ成立しえない裁判だった。憲法を暮らしに生かすために労働組合が積極的に役割を果たした事例だ」と説明しました。藤田さんは、「労働者の供給事業は給与のピンはね禁止という観点から職安法で違法とされてきたが、1985年に派遣労働法ができ、事実上合法化された。しかし、規制はあり、マツダの場合は請負業でありながら直接、指揮命令していたことが明らかとなり違法が証明された。つまり、労働者との間に直接契約はなくとも黙示の労働契約(指揮命令の関係)=特段の事情(派遣とサポート社員で継続雇用)が証明されて違法となった。こうした例は多くある」としました。

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討論では、雇用と人権を守る運動が企業の中に存在するのかが注目される。自治体の職員からは一般市民からどう見られているのかが気になるとの意見も出ました。非正規労働者が声を上げるのは困難ともされるが、そこに労働組合の役割があることも確かです。憲法が生かされる社会にするためには、ルールある社会とするための市民と労働者の共同の運動が求められる。企業の理念実践を追及する運動も必要ではないか?など、憲法に近づこうとする意見が続きました。

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とき:2015年2月7日(土)10時~16時30分

ところ:勤労者福祉センター

2月7日地域人権問題研究集会が開かれ225名が参加しました。県人権連の中島会長のあいさつに続いて、小畑実行委員長(政治学者)が記念講演を行いました。小畑さんは、前回に続いて憲法の中に基本的人権がどう貫かれ、主権者としての国民は憲法上どう規定されているのか、などを安倍政権がやろうとしている改憲の動きと合わせて明らかにし、国民の側からの闘いを提起しました。その上で憲法前文に日本国民とは①国会の代表を通じて行動すること、②諸国民との協和による成果と自由のもたらす恵沢を確保した存在として、③再び戦争の参加が起きることのないよう決意した、と記されていることを紹介しました。

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小畑さんは基本的人権とは何か?それは、「自由、生命、財産、幸福追求の権利」だとして憲法理念に沿って説明しました。権力は立憲主義による憲法という縛りを外せば、腐敗し悪魔性が顔を出すことを安倍政権の暴走政治を通じて、かつての明治憲法下での侵略戦争を例に解明しました。また、憲法下での政権には説明責任が伴うとして、安倍政権といえども憲法を守ると言わざるを得ない。勿論、やっていることは正反対だが、国民に代わって法律をつくり国民を縛る立場にあるものとしての責任があり、なぜ?その法律が必要なのかが絶えず問われる。そう意味で権力者は不自由だ。国民の安全と生存を保障するのが権力者に託された責任であり、そのための権力だとしました。

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私たちは憲法を暮らしに生かすというが、権力者のやっていることが憲法違反だといっているだけでは何の解決にもならない。憲法は生活や行動の規範にならないという側面があり、そのためにどんな法律をつくるのかが重要であり、国民と権力者との闘争という側面が現れる。「憲法があるから権力者にすべてお任せ」では基本的人権は守れない、と問題を提起しました。

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例えば、権力はどこにでもあるとして、小畑氏自身が大学の教員として経験に基づき教育者としての権限・権力について触れました。しかし、その権力は生徒の基本的人権を守るために行使しなければならない。勝手な評価や生徒を自由に操るために使うことは許されず、生徒の勉学・学問研究の自由が保障されることを通じて生徒は教師の権力に伏しているという関係にある。したがって、基本的人権が脅かされるのであればその権力を拒否する。それが選挙であり、国民の権利であり運動だ。それが憲法を暮らしに生かすことであり、基本的人権を守るための不断の努力こそが求められている。

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また、権力になんでも依存してしまうと社会は自立しない。権力の力を借りずに住民がつくる自治や社会的な力が権力の不当な介入を阻止することになる。労働争議に警察権力が介入してくるなどの話はよくあること、治安を守るために警察に依存すると個人のプライバシーが犯される危険がある。かつて夫婦喧嘩は民事不介入とされ権力の介入を許さなかった。ところが最近はDVと言う形で家庭内暴力がはびこり出し、家族の自立が崩壊して、家族内での問題解決能力が欠けてくると権力の介入を許す結果になる。この延長線上では一般家庭への権力の介入を許すことを意味する。権力の暴走させないためには、自立した住民や労働組合の運動が権力者の横暴を規制する環境をつくることが必要だと話しました。

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とき:2月4日(水)9時15分∼

ところ:岡山県庁議員等

民主県政をつくるみんなの会は「県の2015年度当初予算に反映してもらおうと要求書」を提出しました。提出には中島会長をはじめ、花田代表など9人と森脇、氏平両県議を含めて11人が参加しました。県からは水川総務部長が対応しました。みんなの会では昨年から県予算の配分について事前に検討しながら、県民の立場から要求を予算案に反映してもらおうと要求書を予算作成の前に提出するようにしています。中島会長は「県の当初予算はスローガンとは裏腹に大変な問題を含んでいる。競争教育に拍車をかける予算、大企業優先の予算配分、福祉や医療費などの弱い立場の人たちの支援が削減されている。要求をしっかりと受け止めてほしい」と申し入れました。

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新婦人の豊田さんは「女性と子供のくらしのために税金を使ってほしい。学力テスト中心の競争教育は中止を」と。花田議長は「東京都に習って非正規を正規にする助成制度の実現を」と。佐古見に連事務局長は「看護師の養成・確保に引き続き努力を」と。吉野障岡連事務局長は「障害者や社会的弱者の実態をよく見てほしい。重度の心身障害者に負担軽減を」と訴えました。星原県自治労連事務局長は「自治体職員の増員や奨学金の返納負担軽減を」を訴え、吉岡県人権連事務局長は「高校生に若者サポートガイドの配布と単県医療費の助成制度基準を下を基準に戻せ」と迫りました。

水川宏一次長は「要望は伝える。予算作成はこれから」と答えました。

 

 

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とき:2015年2月3日(火)9時30分~

ところ:岡山地裁

2月3日、東京電力福島第1原発事故で、多くの福島県民が県外に避難しましたが、岡山県に自主避難してきた住民34世帯96人の男女が生活基盤を失い、経済的にも精神的にも損害を受けたとして、国と東電を相手に起こした訴訟の第1回口頭弁論が岡山地裁で行われました。訴えを起こしてから今日まで1年を要しました。

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訴訟では弁護団によるパワーポイントを使った訴状陳述、原告の大塚愛さん、渡邊沙織さんの意見陳述が行われました。

訴状陳述では避難者の状況や事実経過が述べられ、被告である国と東電の責任について、①津波が予見できたにもかかわらず必要な対策を取らなかったことで、電源喪失というシビアアクシデントに至った責任を問うこと。②国が勝手に線引きをして被害補償を限定しているが、平穏な生活を脅かされた損害を問うとするなど、争点を明らかにしました。

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原告の大塚愛さんは、「自然豊かな福島川内村に家を建て、農業と大工仕事で平穏な生活をしていたが、津波に伴う原発事故で生活のすべてを失った。以前の環境には戻れず、子ども達を被爆から守るために岡山県で暮らし、避難者の支援もしてきた。東電が安全管理を怠った責任は重い。国は適切な情報を伝えず、20㍉シーベルトという勝手な線量限度を設けて住民に無用な被ばくをさせた。賠償について避難民の権利を求めていない国の姿勢を追求したい」と話しました。

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原告の渡邊沙織さんは、「夫と離れ、一人玉野市で出産の準備を強いられた不安は計り知れない。仕事の都合で、出産後も福島に帰っていく夫を見送り、夫と別れて暮らす2重生活はとても辛かった。事故後も母方の祖父は衰弱死した。気持ちは福島に置いたまま、毎日を過ごした。子どもを被爆から守るためにも福島には帰れなかった。岡山で避難者をサポートする運動に関わってきたが、事故直後からできるだけの防護対策を啓蒙していれば、福島の子どもたちは無用な被ばくをしなくて済んだはず。避難者の権利を認め、支援と補償をすべきだ」と静かに訴えました。

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最後に、弁護団長の石田弁護士は最後に、「原子力の安全を考える視点を道しるべに、国や東電の責任を明らかにして原告と被害者の救済を図りたい」と意見陳述を行いました。

裁判後の集会では広島の弁護団から石森弁護士が自分は福島で活動していたことを明かしながら、「自主避難は一般の方に分かりにくい。どういう点が苦しかったのかを明らかにしてほしい。それが損害だ。岡山の人が知るきっかけになればいい。お金が目的の裁判じゃない。関心のない人にも伝わるように」と助言しました。兵庫県の弁護団からはこれまでの裁判の経過から、「東電は相変わらず想定外を繰り返している。国は法律上指導権限がなかったなどと信じられないいい訳をしている。原子力規制法にはそんなことは書かれてない」としながら、「是非、市民の皆さんが支援のための組織を立ち上げて欲しい。国に勝っても国は賠償の提案をしてくる。その時には横のつながりこそ大切だ」と助言しました。

訴訟には約300人が駆け付け、70人が傍聴席に着きました。

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