連想分類語 積極的平和主義
とき:2014年10月25日(土)13時30分~16時
ところ:オルガホール
10月25日(土)、岡山弁護士会は「集団的自衛権を考える」をテーマに学習会を開きました。会場には市民約200人が詰めかけ、佐々木浩史会長の挨拶を受けて、「迷走する集団的自衛権と日本の安全保障・民主主義」と題して柳沢協二さん(元内閣官房副長官補)が講演を行いました。柳沢さんは自民党の勉強会に呼ばれて「お叱り」を受けたそうです。「なぜ、おまえは歴代内閣に仕えながら、安倍政権に逆らうのか?」と。柳沢はさんは「自分は以前からの内閣法制局の考え方を言っているのであり、変わったのは安倍さんだ」と話し会場を沸かせました。
柳沢協二さんは憲法との整合性をとりながら安保や自衛隊、有事の理論化に努めてきた人です。さすがと言うほかない。政府と官僚の防衛に対する考え方がよくわかる内容でした。柳沢さんは「これまでの日本防衛と憲法概念には戦争に対する歯止めがあった。歴代内閣は憲法の枠内で日米同盟を維持するバランス感覚があった。小泉内閣のときでさえその枠を超えて自衛隊を派兵できなかった。歴史問題も争点化を回避してきた」と憲法が果たしてきた戦争抑止の役割を説明しました。日米安保でブレインとして活躍してきた柳沢さんが今の安倍内閣では必要のない人になっています。そこに安倍内閣の危険性があります。
柳沢さんは安倍政権の特異性として2点を挙げました。第1点は異なる主張の排除であり、与党内のブレーキがないこと。第2点は国民ではなく国家の安全がすべてに優先しているとしました。その上で、いくつかの課題や疑問点を開設しました。柳沢さんの安保条約に関わる特徴的な見解を紹介します。
最初に、「なぜ?集団的自衛権なのか?」ということについて、「安倍さん日米安保の基本は双極制であり、軍事同盟は血の同盟という持論がある。それは、アメリカが攻撃を受けた場合、血を流すことであり完全に対等な関係になることだ。問題なのはその論理が具体性に欠け、情念に由来していることが問題だ」としました。
次に、「どうゆう国をつくるのか?」といった点で、「美しい国とか、強い国、新しい国と言っても未来像はなく、憲法にチャレンジして変えることに使命感を持っている。国民に共感を持たせるための手法として政権が使うのは敵をつくることであり、小泉政権の時は抵抗勢力だった。鳩山政権は官僚、そして安倍政権は中国を敵にした。しかも過去までほじくり返した。国民の上に国家を置き、憲法と安保を異なる次元のものにして強行に成立させた。NSC法に続き、秘密保護法、集団的自衛権で事態をさらに悪くした。NSC法は各省の情報を集めるよう義務付けたものだが、それは同時に都合のよい情報しか来なくなるというバイアスが掛る。誰にも間違いはある。しかし安倍政権は秘密保護法も含めて間違いを修正する主権者の権利を封じ、罰して、暴走を止められないようにした」と話しました。
さらに、「積極的平和主義とは何か?」と提起して、「消極的平和主義は戦争のない状態を言うが、積極的平和はすべての人の人権が保障され自己実現に向かって活動する社会を言うが、安倍首相は日本を国際秩序の受益者だと決めつけ、これからは自分でもコストを払って秩序を形成する社会を積極的平和主義としている。この言葉によってどう日本が変わるのかが全く語られていないことに危うさを感じる」と強調しました。
集団的自衛権に関わって柳沢さんは、「その目的は何か?強い国、中国に負けない大国か?安倍首相はそう言わない。にじみ出ても来ない。だからそうではない。分かるのは日米同盟の強化。しかし、アメリカが尖閣諸島のためにアメリカを巻き込むな、と言っているように日米同盟は単純ではない。日本にはイラク戦争後も同盟疲れがあり、いつでもアメリカの食事が終わると皿洗いをさせられる関係があった。同盟に対する姿勢は鳩山内閣の時、最低でも県外と言ったのはコストを減らそうとした。安倍首相はさらに働いてアメリカからの支援を引き出そうと考えているようだ。しかしそうではなく、世界観、価値観から日本はアメリカから自立しなければならない。アメリカに褒められることが最高の価値観だったことを止めなければならない。自分はこれを日米同盟のバカの壁と呼んでいる。そこを突き破ったアイデンティティーを持たなければならない。日本の安全を保障するアメリカの原価は変わっていないがそのコストはエスカレートしている。血まで流す必要があるとすれが、バランスは均等でなくなっている」と話しました。その内容は安全保障価値観、日米同盟の限界、日本の将来像まで何が問われているのかを考える上で貴重なものでした。安保条約・戦争反対だけではなく、安全保障と憲法との関係を深く認識することで、私たちは安倍政権に対してさらに闘う力を付けたことを認識できる時間となりました。
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とき:2014年6月15日(日)10時~16時
ところ:倉敷健康福祉プラザ
倉敷市職員労働組合をはじめ街づくり研究会、倉敷医療生協など19団体でつくる倉敷市地方自治研集会実行委員会は6月15日、「私たちのまち倉敷を考える市民のつどい2014」を開催しました。当日はワールドカップ日本対コートジボワール戦と重なり、参加者は110人と少なめでしたが、安倍政権の戦争する国づくりに反対する市民運動の大切さを確認し、倉敷の財政、福祉制度、環境、農業、まちづくりを考える上でも貴重な時間となりました。
中谷雄二弁護士(秘密保全に反対する愛知の会)
記念講演では中谷雄二弁護士(秘密保全に反対する愛知の会共同代表)が、「秘密保護法は国民に何をもたらすのか」をテーマに、地域での運動強化を訴えました。中谷さんはまず、秘密保護法とは何かを説明し、秘密保護などという法律を新たにつくるまでもなく、すでに秘密は存在しているとして、情報公開制度に基づく請求によって得られた「秘密保全法の議事録」が真っ黒に塗りつぶされている回答書を示しました。「安倍内閣はアメリカと一体の集団的自衛権行使=戦争のできる国づくりは既成事実化しつつある」として、専守防衛から積極的平和主義、武器輸出3原則の規制を緩めて輸出管理原則・死の商人の国家づくり、愛国心の強要などを国家安全保障戦略の一環として、軍拡体制つくりを進めていると話しました。
防衛計画大綱が見直され、陸上自衛隊に殴り込み部隊として名高い海兵隊機能の増強と敵基地攻撃能力の保有、自衛隊隊員5千人増、護衛艦6隻と航空機20機増、戦闘機は20機増でイージス艦も2隻増など中期防衛協力整備計画で(~2018年)24兆6700億円の大軍拡計画を進められています。
中谷さんは、「秘密保護法では公務員や秘密を取り扱う民間人も適正評価でプライバシーを侵害される。すべての国民が処罰の対象であり、10年以下、1千万円の罰金となる。その狙いは秘密を知ろうとする国民の動きを止めることにある。今でも国民は監視され、デモ行進などをビデオカメラにとって、反政府的団体として監視の対象としていること明らかです」と話しました。
中谷さんはナショナリズムの台頭や小選挙区制による国会内多数派の形成、労働法制の改悪などの安倍内閣の暴走を上げて、何故こんな状態になっているのかと問いかけ、「要因は大きく2つある。1つは資本主義に対抗する運動圏の影響力低下によって、総資本が譲歩を迫られない事。知識人が展望を語れなくなっていること。2つ目は労働組合の影響力の低下が上げられ、バラバラにされた個人が強引な権力行使の前に無力感を感じているからだ」と説明しました。
中谷さんは最後に愛知の会の経験から、「学習会を広げる事、定期的な街頭宣伝で地域から世論を変えていこう」と呼びかけました。
食と農の分科会
午後からは7つの分科会に分かれて討論が行われました。
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