日付 2017年5月15日
と き:2017年5月13日(土)~14日(日)
ところ:山口市センコトア
概 要
2017年度全労連中国ブロックが山口県で開催され、中国5県から67人が参加しました。温泉街ということもあり、日中は閑散としていましたが夜になると多くの人で賑わっていました。天気も良く、ちょっとした観光気分を味わうこともできました。
三上雅弘議長(岡山県労働組合会議)のあいさつによってブロック総会は開会。「5月3日、安倍政権は2020年に改憲を行うと明言した。その際、高等教育の無償化に言及したことが教員である私には許せない。貧困・格差から目を背け何の解決策も行なっていないのが安倍政権だ。大企業本位の働き方改革、テロとは何の関係もない共謀罪など、国民主権が脅かされている。私たち一人ひとりの人権を守るためにどうしていくかを大いに議論してほしい」と総会の意義を語りました。
今回の総会では、記念講演を関野秀明さん(下関市立大学)が行い、労働組合の役割を述べました。全労連からは野村副議長が参加され、組織拡大4ヵ年計画と展望について語りました。また、全労連共済から小林正春さんが参加され、共済の説明を行いました。労働者を取り巻く状況から、労働組合の必要性は増しています。情勢的には組合員拡大の最大の好機です。共済活動を紹介するなど、労働組合に加入することで得られるメリットについても訴えることが大切となっています。
関野さんは「アベノミクス経済の破綻と労働法制」というテーマで講演をこない、資料に沿ってわかりやすく日本経済の現状と労働者の実態を関連づけて解説しました。「アベノミクスは失敗している。安倍政権の支持率が高いのは、アベノミクスに対する幻想があるからだ。実際には、実質賃金は下がり続け、家計消費も低迷している」と冒頭で述べ、安倍政権の下で行われているのは、貧困を利用した資本蓄積であると指摘しました。その背景について、「労働者の賃金減少をテコに大企業・富裕層は過去最大の収益を上げている。特に際立っているのが、株主への配当金の合計だ。経済のグローバル化により外国人投資家が増え、株主資本主義になっている」とし、安倍政権の進めるアベノミクスは投資家や株主を支える公的資金投入でしかないことを暴きました。
こうした状況のもと労働者には自己責任論が押し付けられ、トリクルダウン効果などを盾に賃上げは抑制されたままです。関野さんは、「財界や大企業は生産性が低いから売り上げが低迷し、賃上げできないという。しかし、国際比較した場合、日本だけが生産性が向上しても賃金が下がっている。このことは厚生労働省が公表しているデータから明らかだ。大企業は58兆円もの現金を保有している。仮に、5000万人の労働者に月2万円の賃上げを行っても必要なのは16兆円だ。さらに最企業は有価証券を230兆円も保有していることから、支払いの能力は十分だ」と財界・大企業の欺瞞を批判しました。
最後に、「経済イシューで野党・市民、労働組合の共闘を構築することが必要。問われているのは、賃上げで内需中心の豊かな国か、賃下げで海外進出・戦争する国かだ」と労働組合を激励しました。
続いて、組織拡大・強化について野村副議長が語りました。まず、組織拡大と組織強化は違うとし、「強化とは労働組合としての力量や社会的地位を向上させることだ。拡大とは、未加盟の労働者や組織を組合に迎えること。この点を混同してはいけない。組織強化なくして拡大はない。組織拡大が要求実現につながることは間違いないが、機関会議の定例化や職場懇談などを定例的に行い、悩んでいる労働者を一人ぼっちにしないことだ」と述べました。
全労連共済・小林さんは、「全労連共済は民間保険会社とは違い。営利を目的とはしていない。だから小さな掛け金で大きな保証を実現することができる。働くみんなの助け合いが基本だ」と共済の基本理念に言及し、「よく、生協や農協などと比較してなぜ労働組合が共済をするのかと言われる。労働組合が共済に取り組むのは、労働者の団結権が根拠にある。福利厚生の1つとして共済活動を行うことで、労働者の権利向上を実現できる」と他の共済制度との違についても述べました。
初日の最後は、各県の労働相談の事例紹介が行われ、初日の全大会は終了しました。広島県からは、一人親方であっても労働者として労災適用された案件について。岡山県からは、未払い残業代について、労働審判で支払い命令が出た直後に、会社解散・解雇という不当労働行為について。島根県からは、改正労働契約法が施行されたことを受けて、会社側が無期雇用転換の試験を行い、合格者を採用するという事例について。山口県からは、NTTグループ会社の長時間労働について。
2日目は、労働相談員養成講座、労働相談員交流会、組織問題交流会の3つの分会会に分かれました。
組織問題に関する分科会では、組織拡大と次世代育成をどう進めるのかを主なテーマに話し合いました。青年層が運動に加わろうとしない実態について、労働組合の方針や考え方を押し付けるのではなく、青年の要求をくみ取ることが大切ではないかと意見がありました。また、学習会では聞いて終わりの座学スタイルではなく、参加者同士が感想や疑問を出し合える時間を設けることが大切という指摘もありました。
分科会終了後に総会議案の提案が行われ、組織拡大を中心にしながら、地域経済活性化、改憲阻止での共同を広げることが決意されました。
0 Comments | Posted by sakaki in 活動日誌