カテゴリ 岡山弁護士会
とき:2017年9月23日
ところ:山陽新聞さん太ホール
9月23日(土)、岡山弁護士会主催の憲法シリーズVO、15が開かれました。映画「スノーデン」と原田宏二さん(元北海道警視庁勤務)の2本立てです。終了時間は18時を過ぎました。
テーマは共謀罪の立証や国民監視というものはどうやってなされるのか?を実態に即して考えようというものです。スノーデンの映画はアメリカ社会が世界を監視するシステムを持ち、そこから知り得た情報を元に世界戦略を立てていることが良く分かります。この映画は実際にあったことを描いています。アメリカの理屈はこうです。「我々は情報を元に世界を救っている」です。しかし、スノーデンの目から見れば「人の生活やプライバシーを覗き、企業家や敵国とする人物を情報操作で貶めることが平気になっている国がアメリカであり、イラクやアフガンでも映像や樹法をもとに簡単に攻撃・殺している。情報がどれだけ確かなものかなどはどうでもよくなっている」と映っています。
映画からは感情のない情報操作に罪の意識を持たない上司や機関の実態が暴かれています。観ている人は恐ろしさを感じたことでしょう。日本が安保条約を破棄すればすべてのシステムがダウンするように組み込まれていることを知った視聴者はさらに驚かされました。
原田さんのお話は、警察の仕組みと公安警察の関係を浮き彫りにしました。警察には国家警察と自治体の警察があるがこれは嘘ですべて国家警察に組み込まれていること、警視正以上が国家公務員になることを教えてくれました。その意味で岡山警察署は警視庁岡山支庁になると話しました。また、警察署長でも公安警察が何をやっているのかが分からないと言われたことは警察組織の闇の深さを知るに十分でした。原田さんはいわゆる警察の裏金作りを告発した方ですが、公安警察の捜査費は年間予算で76億5千万(H20年)くらいあるそうで、それはネットに資料が流出したことで和かったそうです。しかもその資金が裏金になっているともしました。実際に自身も警察に勤務していた時に関わっていたそうです。一旦、こうした情報を暴露すると加計学園問題で不正を告発した前川さんのように、公安の情報を元に根も葉もない個人の情報が流されることは身をもって体験したと言います。原田さんの場合は「愛人がいる。高級マンションに住んでいる」と言った内容でした。公安の対象は労働組合、共産党、原発反対運動、市民オンブズマン、国民救援会、生協運動、ジャーナリスト会議など様々で、国家権力にものをいう団体すべてが対象になっていると話しました。
原田さんはGPS操作やDNA操作、Nシステムなどすべて違法な捜査であり、私たちが当然だと思っている操作を疑わなければいけないと強調しました。日本社会と警察の関係を考えさせるお話でした。
会場には300人以上の市民が詰めかけました。また、日弁連の吉岡副会長も参加して、共謀罪の違憲性を告発し、市民の運動でこれを発動させない取り組みの重要性を強調しました。
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とき:2017年5月7日(日)13時~
ところ:山陽新聞社さん太ホール
5月7日(日)、ゴールデンウィークの最終日でした。岡山弁護士会による2017憲法記念県民集会が開かれた。集会は盛況で、会場のさん太ホールには400人以上が詰めかけ、会場外のロビーに設置されたテレビを見ての参加者も出たほどだった。会場では写真撮影が禁止でしたので、様子をお伝えできません。
講師には木村草太さん(首都大学東京教授・社会科学研究科法学系)、対談に熊谷晋一朗さん(東京大学先端医学技術研究センター准教授)と綾屋紗月さん(東京大学先端医学技術研究センター特任研究員)、パネルディスカッションでは3人に加えて青木志帆さん(明石市福祉局福祉政策室・弁護士)の「明石市障害者配慮条例」の紹介と意見交換でした。
木村さんのお話は「憲法的視点から見たマイノリティー問題」がテーマでした。木村さんは憲法とは何か?と問いかけ、施行70年になる憲法は立憲主義に基づいたものであり、過去の権力者の失敗をリスト化したものだとして、世界の3大失敗に人権弾圧、無謀な戦争、独裁をあげました。そのために憲法は自由、平等、社会保障を定めていると話しました。中でも人権は人間が人間であるために保障されるもので、国家以前にあるもの、あらゆる人に保障されるものだとしました。そこでマイノリティーと憲法を説明するために、アメリカの平等権と差別されない権利について、南北戦争と奴隷解放からくる財産権の侵害論、不合理な人種分離法が正しい目的のための区別になっているのか?差別や意図的な動機がないのかどうかを考える必要があり、差別を助長されている現実から「差別されない権利」の主張が有効だと解説しました。そこで、自由・平等の観点から「差別されない権利」のアプローチが有効だとする判例を紹介しました。非摘出子の法定相続区別(摘出子の2分の1)、日本で少数のイスラム教徒データーベース化=9.11以降の生活の監視化、同姓婚(法律婚できない)、君が代訴訟(斉唱命令違反)などをあげました。
こうした少数者の差別は警察の差別感情を助長している。君が代斉唱問題は「思想信条の自由」だけでは勝てない。業務としては歌わなければ成立しないが、だからと言って歌わなくても差別されないと主張することが大切だとしました。差別と平等という立場から合理的かどうかが問われるとしました。最後に、組体操や沖縄の問題を例にあげ、人権問題として人間の類型(小学生・中学生)に向けられた蔑視感情を生み、沖縄県民は人間の枠から排除された状態にされていると話しました。そのために命の危険を放置していると指摘しました。木村さんは、一人ひとりの人間の状況に、いかに想像力を働かせるかであり、知ってもらう権利が必要だとしました。
対談では、マイノリティーは見えにくいとか、自由度は大きすぎても小さすぎても自由ではなくなるというお話でした、シンポで紹介された明石市の条例は少数者の合理的配慮を行政がどう援助するのか?の提起であり、困っていることを、人を客観的に認識する社会の仕組みが必要だと知らされました。
ところで、マイノリティーとは社会的少数者のことであり、逆に多数者はマジョリティーです。熊谷さんと綾屋さんの対談にはこの言葉がよく出てきました。
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とき:2015年11月21日(土)13時30分~
ところ:三木記念ホール
11.21TPP学習会
岡山衛生会館三木記念ホールにて岡山弁護士会シリーズ憲法No.6「TPPで私たちの暮らしはどうなる?」が開かれ、約80人が参加しました。
東京大学大学院鈴木宣弘教授による講演が行われ、「TPPで私たちの暮らしはどうなる?~誰が利益を得るか」とのテーマでしたが、”戦後レジームからの脱却”を唱え、戦前への回帰を目指している安倍政権がアメリカのいいなりになる理由には、安倍首相が東京オリンピックまで首相を続けたいからであり、国益に反してもTPPに大筋合意したという子どもじみた稚拙な意図があるらしい。
TPPはバラ色のようにマスコミは報道しているが、東大鈴木研究室による試算では、GDP増加率は0.069%、GDP増加額は0.5兆円に過ぎず、農林水産生産増加額はマイナス1.0兆円、自動車生産増加額はマイナス0.4兆円となっている。 国益よりもアメリカの企業利益を優先するのがTPPの本質。一方でアメリカは自国の生産物を買わせるのが目的で、自国でも食しない遺伝子組み換え食品、農薬漬けの食べ物を日本や太平洋周辺国に売りつけようとしている。
日本の政府はTPPによって過保護な日本農業を競争にさらして強くし、輸出産業に育てると言っているが、農業所得に占める補助金の割合は、日本では平均15.6%、EUでは農業所得の95%前後が補助金で、アメリカでさえ農産物の輸出のために価格保証をしている。
ただでさえ、後継者不足で農家数は減っているが、TPPで農業も林業も水産業も壊滅的状況になるのは自明の理。
食糧自給率は18%前後に落ち込み、遺伝子組み替えされ、ポストハーベストされた農産物が輸入され、食の安全保障はないがしろにされる。さらに、耕作放棄地が増えて、国土の保全もないがしろにされる。消費者に価格低下のメリットが強調されているが、関税が撤廃されるその額は約4兆円であり、それだけ税負担が増えることになり、商品が安くなったとしてもその埋め合わせをさせられるのは国民だ。アメリカは「遺伝子組み換えでない(GM)」という表示は誤解を与えるとして表示をやめるよう要求している。自動車産業でさえメリットされる関税の撤廃は、長期間据え置かれるために実際には減益になる。日本にとってメリットは何もない、儲かるのはグローバル企業だと話しました。
講演の二つ目はTPP交渉差止・違憲訴訟弁護団の三雲崇正氏による「TPP交渉差止・違憲訴訟について」でした。三雲弁護士はTPPは憲法41条違反(国会の唯一の立法機関としての地位の侵害)、憲法73条3号但し書き違反(条約の国会承認権の侵害)、憲法25条違反(生存権の侵害)、憲法13条違反(人格権、自己決定権の侵害)、憲法76条違反(司法権の侵害)、憲法21条違反(知る権利の侵害)をあげました。一つひとつの説明は日本の国民としてTPPが如何に屈辱的な条約なのかということを明らかにしました。
パネリストとして、岡山協立病院院長の高橋淳氏、広島県農業協同組合中央会会長の村上光雄氏が登壇しました。
高橋先生は、TPPが日本の医療に及ぼす影響について、最新の情報では、新薬や医療機器の価格が暴騰するが、アメリカの製薬会社は新薬が保険適用された方が、使用する患者が増えて儲かるので、自由診療の拡大は目指さないそうだ。勝手なものです。
ただし、政府は医療費の国の負担は増やさないので、保険料の値上げや自己負担の増加で低所得者の受診抑制が起きると説明しました。そして医療機関も標準報酬が引き下げられ、経営が苦しくなり、営利的な医療機関が出てくる恐れがあるとも話しました。村上氏は国土を守っているのは中山間地の農民だ。その農民がいなくなれば国土はあれ、都市の住民も暮らせなくなると日本の将来を憂いました。
安倍首相はTPPについて丁寧に国民に説明すると言っていましたが、臨時国会を開かず、通常国会を1月4日から開くとしています。TPPについて説明する気はないようです。
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とき:2015年7月25日(土)13時30分∼
ところ:県総合福祉会館、東税務署西隣西中山下児童公園(通称タコ公園)
7月25日に県弁護士会が主催する戦争法に反対する集会とデモ行進が行われました。集会の講師として東京新聞論説委員の半田滋さんが70分、自ら調べた安倍内閣の赤裸々なアメリカ追随の履歴と歴史修正主義者としての醜い姿を暴きました。戦争法が違憲の存在にも関わらず、なぜ安倍首相は強引にこの法律をごり押ししようとするのかがよくわかる内容です。また、日米安保条約が日本を守るのではなく逆に日本を苦しめている実態を紹介しました。したがって、抑止力などと言えるものではない事も納得できる詳細なお話しでした。会場には450人のキャパを超える500人近い人たちが立ち見も含めてぎっしりと参加して、半田さんの話に聞き入りました。半田さんは「憲法違反の法律を強引に押し通そうとすることは公務員や国会議員の憲法遵守義務に違反する行為。犯罪だ」と締めくくりました。
その後はコンサートとなりましたが会場はいっぱいのままでした。
16時30分からはデモ行進となり、会場から出てきた500人の参加者は2グループに分かれてデモ行進に入りました。タコ公園では1000人の集会をしながらデモ行進団を待ち構えた市民が合流して、5グーループのなった行進団はかつて経験したことのないデモ隊として桃太郎通りを埋め尽くしました。シュプレヒコールはラップ調に「ストップ・ストップ戦争法」「戦争法は追えんじゃろー」「9条破壊は違憲じゃろー」と訴えながらのデモ行進でした。
弁護士会は今後も運動を続け、9月にもデモ行進を計画中です。
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