岡山県労働組合会議

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2.1岡山県地域人権問題研究集会労働と人権分科会

とき:2014年2月1日13時~

ところ:勤労者福祉センター3階小会議室

テーマ「労働と人権」ブラック企業とディーセントワーク

 参加者は21名。参加者の特徴は農協の職員、中国銀行の職員、倉敷民主会館職員、科学者会議会員、市議会職員、地域労連の議長など前回の分科会が労働組合関係者のみだったのはと打って変わって多彩なメンバーが集った。逆に労組関係者は少ないという印象だった。

 司会は福田、石倉のさんに依頼。分科会は予定通り、県労会議の伊原と藤田の報告から始まった。伊原は「アベノミクスと労働法制改悪」、藤田は「岡山県における非正規労働者の実態」を報告しました。詳細は省きます。

 実態報告は岡山市職労と通信労組が行いました。岡山市職労の山崎さんは、「正規職員の削減は非正規労働者の増大を招き、非正規への責任押しつけと職員のモチベーション低下、業務量の増大がメンタル面で職員の疲弊が表れている。それは市民サービスの後退につながっている」と報告しました。NTT・通信労組の佐藤さんは、NTTの合理化計画の中で人員削減と同時に賃金削減が強行され、2002年には50歳以下の社員2万2,500人が在籍出向で子会社に移行させられた。同時に10年間で3割・2千万円以上の賃下げを実施、2013年には、」30歳から60歳代の賃金を20%・800万円の賃下げを強行するなど使い捨て労働が常態化している」と報告しました。

 休憩を挟んで、県労会議の伊原が、笠岡天神会労組と公契約運動に触れて、「天神会は理事会の不正を告発した労働組合を結成した川之上さんを降格させ、でっち上げの事件で解雇させるという暴挙を行った。現在、裁判が闘われているが川之上さんは地裁で勝利し、現在は高裁で係争中だ。展示会は介護の質が問われたにも拘らず反省がない」と事例を報告しました。また、県労会議が10年以上継続している公契約運動について、「公共工事は低賃金の労働者で支えられている。しかし、下請け業者は疲弊して自分で設計すらできない状態。元請が下請け単価を削っているからだ。昨年、設計労務単価が13%上がったが、業者には反映されていない。公共工事の質が問われる問題だ」と話ました。

 ここで基調報告を行った小畑さんが、再度、「企業のガバナンス能力が問われる国際情勢が現れている」として、「生産物の質が問われる国際的社会の中で、日本の企業が安くて大量生産さえすればいいとしてきたこれまでのやり方が通用しなくなっている。つまり、労働者がどういう状態で働かされているのか?労働に見合った賃金が支払われているのかが問われている。そうでなければ消費者は買わないという、グローバル社会の中で品質に対する新しい視点が求められるようになったことに着目する必要がある。消費者の側に立った労働運動の視点、合理化だけではガバナンス能力が低いと見なされる国際的な視点での闘い方が必要になっている。今はインターネット・携帯電話が発達し、これまで企業の中で処理されていた問題も簡単に公開される時代だ。これまで企業が表向きは良くても、中では人権侵害がまかり通っていたというようなことがあった。今でもあるが。企業が人権問題を考えなければならない時代になっている。一方で労働組合も横につながる運動が弱い。各組合の闘いは縦の運動になる傾向が強く、第3者機関の設置で解決される場合もあり、すべてが労組の闘いで解決というわけではない。闘い方は様々だ。労働の在り方や企業のコンプライアンスに対する社会的な視点が求められている」としました。

 そこで、市議会議員の田中さんは、「天神会の話は初めて聞いた。小畑さんが言うように、企業のガバナンスが求められ、安部首相が労働法制の改悪をしようとしている時にどうして運動が広がらないのか?」と質問。

 この質問に対して小畑さんは、「それは労組が縦の関係で運動していることが要因。企業内主義の運動に閉じこもっている」と答えました。これに対して、藤田さんは、「日本航空の解雇事件に見られるように、労働組合は横のつながりを生かして支援を強化、大会社の不正を許さない闘いが組織されている」と、労働運動の闘い方が単に解雇や賃金闘争だけでなく、会社の雇用や経営の仕方にも言及した運動になっていることを紹介しました。

 参加者の中からは、セクハラやパワハラ防止の運動を紹介したSさん。JRの安全を求めて運動しているGさんは、「快適な輸送を求めて運動しているが、JR北海道に見られるように現場の労働者が責任を取らされ懲戒解雇になる一方で、現場長や課長は諭旨免職など労働者に責任転嫁がされ、行政も会社に対する指導を緩めている。国鉄の分割民営化の責任は国にあり、サービスやガバナンスに対する姿勢は労組も同じだが、会社や国は聞く耳を持たない」と話し、国際的な流れに対して日本は遅れていることを示唆しました。中国銀行のIさんは、「会社に組合はないが、セクハラやパワハラ、頑張っている人とそうでない人との処遇問題など対応の難しさもある」と職場の意欲や規律について言及しました。農協のNさんは、「10年前に労組のトップをしていたが、振り返って賃金や待遇に問題ばかりにとらわれていた気がする。人員削減がされる中で、労組が良い職場づくりを目指すのは当然であり、原点に返る運動が求められる」と職場の人間関係が悪化していることが気がかりのようでした。その他、全員発言で問題意識を共有した分科会となりました。

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