11.26-27 2015年国民春闘討論集会
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と き:2014年11月26日(水)~27日(木)
ところ:熱海・熱海後楽園ホテル
概 要
全労連春闘討論集会が二日間にわたり熱海で開催されました。安倍首相による解散表明直後ということもあり慌ただしい日程となりましたが、全国から203人が参加しました。
主催者を代表して小田川議長があいさつを行い、「いま2期連続でGDPは低下しているが、個人消費の低下が大きな要因となっている。政府は、アベノミクスは効果を発揮しているとしているが、その実態は大企業優先の経済政策に他なならい。結果、貧困と格差は広がっている。2015年春闘は消費税増税などの課題は多いが、要求闘争からストライキまですべての単産単組の違いを乗り越え、労働者、地域住民を巻き込んで運動を進めてもらいたい。今年の春闘は3月11日を集中回答日と指定する。全力で奮闘していこう」と呼びかけました。
続いて、井上事務局長が登壇し春闘方針について発表しました。まず、情勢認識として、「消費税率引き上げや円安などによる物価上昇によって労働者の実質賃金は15ヶ月連続でマイナス、前年比3%強も下がっている。安倍政権がアベノミクスの成果をどんなに言い繕おうと、『暮らしが大変』と言うのが労働者・国民の実感だ。そして、深刻なのは格差がいっそう拡大していることだ。ダブルワーク、トリプルワークをせざるを得ない非正規雇用労働者が大幅増加し、早朝から深夜まで働き詰めという異常な長時間労働が当たり前になっている。現行最賃制度の制度的限界とも相まって格差が拡大し、地域経済に深刻な影響を及ぼしている。事実、若者の地方からの流出、建設や飲食、介護などの現場での人手不足が顕在化している。安定した雇用の実現と合わせ、賃金の底上げ、均等待遇を実現し普通に働けば人間らしいまともな暮らしができる労働条件を確保することは緊急の課題だ」と述べました。
2015年春闘の基本方針については、「第一に、実質賃金のこれ以上の低下は断じて認められないことを深く意思統一し、賃金を底上げするベースアップにこだわっていくこと。第二に、雇用の安定と社会保障拡充を中心にした安全・安心社会をめざす大運動を飛躍させ、憲法の活かされた社会を求めて全国的な行動を展開すること。第三に、要求課題と結合して、職場の隅々に労働運動の風を吹かせ、全組合員参加型のとりくみをすすめ、職場活動の活性化をすすめる。第四に、『グローバル競争国家づくり』への対抗軸として〝地域″をキーワードに、安心・安全社会をめざす大運動を加速させ、地域春闘を産別と一体になって推進する。みんなで決めたことを、みんなでやり抜く全組合員参加の春闘を合言葉に、官民一体、産別・地方の統一闘争をつくり上げていこう」と提案しました。
春闘方針提案後、特別報告が行われ、JMIU東京地本東部地協議長・鈴木透さんが登壇し産別統一ストライキについて報告しました。鈴木さんは、「私たちの春闘第一次統一ストライキは〝リレーストライキ″だ。各支部が時間をずらしてストライキに入り、各支部から代表が参加する激励団がストライキに入る支部を応援して回る戦術をとっている。14年春闘でも激励団が2コースに分かれてリレーストに入った各支部を激励した。激励団には地協の支部からに加え、JMIUの中央・地本、東京地評や地域労連の仲間などからも参加があり総計30人を超えた。少数の組合でも、組合員の数を越えるような仲間が駆けつけてくれるのは大きな励みになる」と話しました。
続いて、大阪春闘共闘委員会事務局長・菅義人さんが登壇し、「春闘共同アピールを勝代することで、市民団体、経済団体など労働組合以外の人たちに春闘に参加してもらうことに成功した。そこから、橋下・維新の会とのたたかいにも発展するなど組織の枠を越えた大きな運動を形成することにつながった。大切なのは労働組合が率先して諸団体の活動に参加し、存在感を発揮することだ」としました。
続いて、出版労連書記長・木村広さんは、「現在の出版業界の状況は非常に厳しい。主力である書籍・雑誌の売上高が大幅に低下しているからだ。特に、ここ10年間で激減している。背景には情報端末の普及があるとされているが、諸外国の出版業界は日本のようには落ち込んでいないことを見ると、本や雑誌が買えなくなったのが多いのではないか。出版業界再生のためには、賃上げによる貧困と格差の解消が不可欠だ」と発言しました。また、労働運動の再生についても触れ、「安倍政権が掲げている世界で一番企業が活動しやすい国づくりとは、企業の利益と規模拡大のみを優先し、労働者には忠誠と犠牲を強いる国家のブラック化だ。日本の労働基準の現状を解決するには、労働無きCSRの克服、すなわち労働に関する原則の実施を含む企業の社会的責任を求める運動の推進などが必要。ISO26000やJISZ26000の活用も視野に入れていこう」と述べました。
最後に、東京国公事務局長・植松隆行さんが登壇し、「私たちは2009年から官民共同行動を展開している。これまで官民が地域から対等な立場で共同して春闘をたたかうという点では極めて脆弱だった。また、みなさんの実感としても県国公が地域に出て活発に活動しているイメージはないと思う。これらの点を克服することが運動全体に求められていた。公務員バッシングが嵐のように吹き荒れる中、民間や地域の仲間が、公務・公共のサービスの維持発展を守る立場から、国家公務員給与削減反対、公務員の人員削減反対、霞が関の不払い残業根絶など、公務員労働者の労働条件を守る立場でたたかってくれたことは今後の運動の大きな励みなった」と述べました。
その後、全体討論に移りました。山口県労連の宮浜さんは、「政府は賃上げなどで景気は回復していると言うが、この間我々が行った自治体キャラバンでは反対の声が多い。地方からの若者の流出や大型ショッピングモール出店による商店街の崩壊など、地方経済は非常に厳しいのが現状だ。県のある担当者は、『県は国の方針を具体化する場だ』と発言するなど、地方行政を何だと思っているのか疑問を感じた。2015年春闘では地域春闘を本格化していく。市民との対話を進めるなど具体的な活動を実現する。また、12月13日には非正規部会を立ち上げる。生協労連の仲間が部会長を引き受けてくれ、運動前進の兆しが見えてきた」と話しました。農協労連からは、「いま米価が大幅に下がっている。山形県では1俵作るのに12,000円の費用がかかる。しかし、米価は8,500円で作るだけ赤字になってしまう。農政改革とは資本側に農政を明け渡すことに他ならない。農業・農協潰しを労働組合の連帯によって力を合わせて阻止していく」と述べました。静県評は、「公契約条例に関する対県交渉では担当職員が『全国的に動きがあることは承知している』と述べ、研究チームを作ることを示唆した。背景には、賃金の地域格差の問題があると思われる。その点でも今年の春闘をたたかっていく決意だ」と発言しました。福島県労連は、「原発事故のその後の状況はわからない。汚染水解決のための目処はなく、運身に流すことを強行しようとしている。この間、避難生活で1805人が死亡し、自殺者も後を絶たない。毎日の生活では放射能を恐れながら多くの人が生活を強いられている。それだけに、川内原発の再稼働は絶対に許されない」と力のこもった発言でした。通信労組は、「昨年のNTTグループ各社の春闘への回答は増税分に届かないばかりか60歳を超えた者に対してはゼロ回答という不平等なものだった。膨大な儲けがあるにもかかわらず、労働者にはまったく還元されていない。今年の春闘では差別回答を許さず、大幅なベースアップを勝ちとる」としました。
提案された春闘方針は全会一致で採択され、2015年春闘を意気高くたたかっていくことを決意しました。