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11・17NPOおかやま人権研究センター秋の講演会「食品ロスから見えるもの」

と き:2019年11月17日(日)
ところ:岡山県民主会館
概 要

NPOおかやま人権研究センターによる秋の講演会が開かれ、20人が参加。「食品ロスから見えるもの」と題する原田佳子さん(美作大学特任教授)のお話しを聞きました。

原田さんは、「食品ロスとは何か?外国では腐った時点だが、日本では食べられても廃棄物となるかどうかで、無駄な廃棄ロスとなる」と切り出しました。その廃棄量は企業が352万トン、家庭からは291万トンで合計は643万トン、コメ生産量800万トンの80%であり、世界全体の食糧援助320万トンの2倍だと指摘しました。さらに農業生産物が値崩れを防ぐために廃棄するなどのロス部分は含まれていない。国民一人当たり1日139グラム(卵2個分)に相当するロスだそうです。原田さんが運営するフードバンクには袋が破れガムテープが張られ商品にならなくなったコメなどが寄付されます。パッケージミスのマヨネーズやケチャップ、企業独自の販売期限を逃した商品も来るそうです。マックスバリューなどからは毎月200㎏~300㎏。カット野菜(片貫の根菜類)は捨てる部分の方が多くもったいないと。葉物野菜も出荷時期を過ぎると規格外となり売り物にならないことが原因と食品業界の事情を説明しました。

一概に国際比較は困難だが、比較の仕方として、主食用穀物自給率(重量)、食料自給率(生産額)、食料自給率(カロリーベース)がある。食料自給率はすでに37%となり日本は主要国の中で最下位です。事例として天ぷらそばの自給率は3%、卵は生産に要する餌が輸入に頼っているためさらに低いと強調。「危機的な状況だが政府は何も手を打たない」と批判しました。一方で、ご飯100カロリーは卵1個、胡瓜なら10本に相当するとしてカロリーの比較は難しさを解説しました。国内比較では大都会ほど生産量は低く、岡山県も低い方です。生産額では雇用や労働力を正当に評価するのはさらに困難。輸入額は増えており、それは輸入や長距離輸送に膨大なエネルギーを使うことを意味する。農業や漁業の人口は高齢化とともに減少しており、食品ロスを出している場合ではないと訴えました。

世界の食料生産量の3分の1(83兆円)が食品ロスとなっている。これは日本の国家予算(101兆円)に近い。世界の飢餓人口が増加傾向にあり10億人となっている。廃棄物は埋めるか焼却するしかないが、食品は水分を多く含み、焼却炉建設に莫大な費用が掛かる。日本は国土が狭いために償却するしかないが、広島では1日13千万円を償却費用に要している。ロスで焼却に要する費用負担は消費者だと言って、「自分で買ったものを廃棄して何が悪いという風潮があるが、すべて自分に返ってくる」と近年の食べ物に対する考え方を批判しました。こうした考え方が生まれるのも家庭で料理をする機会が少なく、作物生産の現場を知らないことが起因しているとしました。もはや食品ロスを減少させる政策は喫緊の課題であり、その対策は気象変動の緩和にも役立つと対策を促しました。そんな中でも政府は2013年に食品ロス削減国民大運動を提起して、日本復興戦略2016フードバンク活動を提唱、食品ロス削減推進法を全会一致で可決、施行している。主に企業向けの政策となっているため、消費者として食品ロスを減らす工夫を紹介しました。

最後に、全国にフードバンクは100ヵ所ある。管理も運営も財政が乏しいために難しいがその目的は食べ物をロスにしない、捨てずに生かすことにある。食品ロスは資本主義市場経済の産物であり、ここが問題の本質があるとしました。

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