6.30第8回地域人権問題全国研究集会2012
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とき:2012年6月30日(土)~7月1日(日)
ところ:京都市内
初日の概要
6月30日~7月1日の2日間、第8回地域人権問題全国交流集会が京都で開催されました。今年は全国水平社創立90周年の記念すべき年として創立大会が開かれた京都での開催となり、初日の会場となった京都テルサホールには1000人が記念講演や特別報告に聞き入りました。
オープニングの獅子舞
全国地域人権運動総連合丹波正史議長は、「水平社創立の今日的意義は、1世紀にも満たない間にもっとも深刻にして重大な社会問題としての部落問題を基本的に解決したことだ」と話しました。また、「歴史は単純な一直線ではなく、政治権力の側は同和対策事業に取り組み、その代償として部落解放運動の内部に部落民以外すべて差別者とする部落排外主義の勢力を台頭させた。これは部落解放運動にとって負の遺産となったが、40年の闘いの中で部落排外主義勢力はかつての勢いを失い、ようやく新しい時代が到来しつつある」としました。
主催者挨拶をする丹波正史議長
記念講演では、近・現代史研究者の鈴木良さんが「歴史研究と部落問題の解決」と題して、奥山峰夫さん(大阪経済法科大学教授)との対話形式で90分間にわたりユーモアたっぷりに話しました。鈴木さんは「現代独占資本主義の構造そのものが部落差別をつくりだすという独占資本敵論」には疑問があるとして、1979年に「地域支配と部落問題」という論文を発表し、封建遺制である部落差別が近代日本社会に残されていくからくりを明らかにしました。「天皇制権力が資本主義、軍国主義の強化のために、農民から高額な地租を取りあげた。そのため江戸時代以来のムラの秩序を残し、有力な町村の有力者(地主など)が支配する仕組みをつくった。これを近代日本の地域支配(市・町村制)と名づけ、天皇制が地域を再編成したことが、部落問題を残した理由だ」と説明しました。そして、「部落問題から歴史を考えるのではなく、歴史の全体的発展のなかに部落問題を位置付けることが大切だ」としました。また、「これから人権問題を考える上で世界的視野が必要であり、日本を人権大国にすることが新しい意味を持ち始めている。若者の半数に仕事がなく悩んでおり、憲法13条の幸福を追求する権利を実現する運動が必要だ」と強調しました。
ユーモアに富んだお話しで会場を沸かせる鈴木良先生
特別報告では、大阪市をよくする会事務局次長の成瀬明彦さんが、「橋下市長が行った思想調査と維新改革の周辺」と題して、職員に対する橋下市長の視点や思想調査の背景、顧問弁護士の野村修也氏の人物像や行動を克明に説明しました。また、橋下市長が、なぜ憲法の基本的人権を侵してまで思想調査を実施したのか、異常なまでに労働組合を敵視したのか、その狙いを考える必要があるとしました。橋下大阪市長は市民の不安や不満を「ガス抜き」しながら、「湾岸部や梅田北ヤードの再開発、地下鉄の民営化など大規模開発の推進している。住民サービス向けの予算削減であり、大阪式の独裁・強権政治を国政に広げ、民主主義の機能を日本からなくそうとしている」と断じました。
成瀬明彦さん(大阪市をよくする会事務局次長)