月別 2021年6月
と き:2021年6月5日(土)~6日(日)
Web開催
6月5日(土)~6日(日)、第29回パート・派遣など非正規ではたらくなかまの全国交流集会in愛知が開催されました。緊急事態宣言下であり、Web開催となりました。第1日目は中京大学教養教育研究院教授・大内裕和氏による記念講演が行われ、第2日目は8つの分科会が開催されました。
第1日目
“労働者としての権利確立をめざして”というテーマで大内氏の記念講演は行われました。まず、「非正規労働者の増加に伴い、法改正が進んでいるにも関わらず非正規差別はなくならない。それは、非正規差別、女性差別はあって当たり前とする日本型雇用と生活保障システムが継続しているからだ。歴史的に日本の労働運動と社会運動はこの点を変えることができなかった」と問題提起しました。
そして解決策として、全国一律最低賃金1500 円の実現に合わせ、業種別・職種別賃金を確立することが示されました。それは、エッセンシャル・ワーカーなど一定の技能・専門性をもつ労働者の賃金が不当に低くされている現状の改善が急務だからです。
また、賃金だけでなく社会保障運動の強化が必要だとし、「非正規労働者の社会保険への加入促進、社会保障(教育・住宅・医療・介護・保育)の脱商品化を推進することを労働組合運動に位置づけることだ」と訴えました。
第2日目
2日目は8つの分科会が行われました。第1分科会「最低生計費調査から全国一律最賃制度の実現へ」では、静岡県立大学短期大学部社会福祉学科・中澤秀一准教授が講師を務め、全国どこで生活しても時間給1500円が必要なことを、グループワークを交えて学びました。
グループワークでは3人家族・18万円でひと月の生活をシミュレーションしました。参加者は、現行の最低賃金ではとても生活できないと意見を交わしました。中澤氏は、「最低賃金は全国一律で1500円にまで引き上げていかないといけない。しかし、時間給で訴えるよりも、月給・年収で考えないと貧困解決にはつながらない」と述べました。
また、SDGsに当てはめ、「低すぎる賃金が長時間労働・貧困・環境問題・人口減少など様々な問題の根源になっているといえる。しかし、全てを賃金で賄うのは不可能であり自己責任論に陥ってしまう。社会保障制度の改善と合わせて十分な賃金を求めないといけないのだ。そのためにも今の労働運動を大転換しないといけない」と訴えました。
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と き:2021年6月12日(土)13:30~
ところ:Zoom開催
6月12日(土)、第50回岡山県自治体問題研究所総会がWeb開催されました。総会には約20人が参加。総会終了後、岡山大学名誉教授の小松泰信氏による記念講演が行われました。
総会内容
岡山県自治体問題研究所の事務局長・花田雅行氏が議案の提案を行いました。1年の振り返りとして、「新型コロナウイルス感染拡大を受け、各団体で戦略的なPCR検査をすることなどの要請が県などに行われた。感染拡大をさせないように各種集会などの中止、延期、規模の縮小が余儀なくされ、一方でWebでの会議や集会が広がった。こうした中でも岡山県自治体問題研究所は、『2018年7月岡山県西日本豪雨災害の記録と考察』の発刊、市民公開講座のzoomを活用したweb開催、『住民と自治付録岡山版』の発行、市民公開講座の開催、真備町や総社下原の被災者訪問による調査と研究・学習を重ねてきた」と総括しました。
これからの活動方針について、「発行した『豪雨災害の記録と考察』に基づき課題をまとめ政策策定を進めていく。そして、岡山県内の市民運動や自治体の課題等を中心にその取り組みについて学び考える市民公開講座を今年度も開催していく」と述べました。すべての議案が満場の拍手で採択されました。
記念講演
総会終了後、「農業から政治を語る」とのテーマで記念講演が行われました。小松氏は、「農業問題が政治の場で争点になることはほとんどない。前安倍政権の下、『農業競争力強化プログラム』が決定された。このプログラムに沿う形で菅農政は進められている」とし、「農業競争力強化は第2次・第3次産業の論理を第1次産業に当てはめたものでしかない。しかし、農業は成長産業にはなれない。なぜなら、生産に必要な土地・労働力・資金は第1次産業に当てられていないためだ。本当に農業を成長産業にするつもりなら、土地・労働力・資金を農業に割り当てないといけない」と政府の農業政策を批判しました。
小松氏は、コロナ後にめざすべき社会は新自由主義からの脱却に尽きると断言しました。そのポイントとして、<SDGs><適疎社会><いのちと人間の尊厳を守ること>を指摘し、「食料主権を考えると、高額での提供はよくない。農業は、生態系保護、文化の伝承、海域環境保護など多面的な機能があることからも、農家への補償を強化し、食料自給率の向上を政治目標に据えていくべきである」と訴えました。
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