日付 2015年12月6日
とき:2015年11月28日(土)13時30分~
ところ:勤労者福祉センター4階大会議室
昨年、法律が成立したのを契機に全国29カ所でシンポジウムが開かれています。岡山県では昨年、過労死センターの主催で学習会が開かれましたが、今回は厚生労働省の主催でシンポジウムが行われ72名が参加しました。主催者を代表して岡山労働局の佐々木英一労働基準局部長があいさつ、清水弁善朗護士、山本勝敏弁護士、岩城譲弁護士が経験を交えて過労死対策の課題や法律の進歩的活用などを語りました。佐々木労働基準部長は「家族の会や支援する弁護士会などの尽力で法律は衆参全会一致で成立した。この法律を幅広く取り組み、過労死の実態を明らかにし、できることから始める。監督指導の強化や対策を進めます」と挨拶しました。
シンポジストの清水弁護士は「1987年に倉敷で弁護士として労働事件に関わってきた。過労死が人を死に追いやってはいけない」として、1990年に岡山労災職業病過労死センターを立ち上げ、その後の経過と成果を話しました。当時は過労死も認定条件が低く、遺族は悲しみや苦しみ、ストレス、落ち込み、生活の糧を失くすなど困難は大変なものだった。家族の会を立ち上げ弁護士も協力して活動してきた。献身的な医師の強力もあって、長いトンネルを抜けようやく成果が見えはじめた。一審で敗訴した市役所のケースワーカーの死亡例では最高裁で逆転判決が出て業務上の労災と認められた。その後、福山の26歳の医師のケースで、同僚などの話から業務量を割り出し、広島の地裁では公務外だったが審査請求で逆転した。これで、医師のお母さんの無念が晴れたと話しました。また、訴訟は労災認定だけでなく会社への損害賠償という形で使用者の責任を問う裁判にも取り組んだ。会社は資料を出さない傾向があるが、裁判で責任を争い証拠保全を求めるやり方で客観的で原告も納得できる結果を出せた。過労自殺は自分の責任ではないか?とする考えが支配的だが、精神疾患という病気が原因となることが明らかになってきたと認定が難しかった過労死の裁判例が紹介されました。
山本弁護士は注意や叱責がパワーハラスメントになるのか?どう防ぐのかをテーマに話しました。部下に対する上司の言葉が業務の指導範囲を逸脱しているのかが問われた裁判例を紹介し認定された要因を説明しました。福祉施設の職員が過労自殺した例では、指導は厳しかったが個人の人格を否定するようなものではなかったとする周囲の証言があったが、叱責が長期に続いてことや社会通念上行き過ぎがあり、怒られる側の能力や精神状態に配慮することが争点となり、労災が認められたと話しました。今回の過労死防止等推進法は積極的なものだが、国会では過労死を促進する労働法制の規制緩和などもあり国の姿勢には矛盾があると指摘しました。
岩城弁護士は、「過労死はなくせるのか?」と自身の経験を話しました。1988年に弁護士となり、過労死110番の電話相談を契機に労働災害や過労死に関わるようになったとして、どんな人が過労死になるのかを話しました。第1に責任感が強い人、第2は日本人の勤勉は美徳とする意識、第3は儒教の影響があり、忠実、実直さが長時間労働となり精神疾患を患う結果になるとしました。過労死をなくするためには、ゆとりのない長時間労働、支援体制のない会社をなくすことであり、そのためにも労働組合の役割は大きい。36協定など労働時間が守られない状態を改善する必要があるとしました。
0 Comments | Posted by kiyoshi in 過労死防止等推進法シンポジウム