カテゴリ 県春闘共闘発足総会学習会
とき:2017年1月28日(土)13時~
ところ:おかやま西川原プラザ 弁護士・中村和雄氏講演から概要
1月28日(土)、県春闘共闘は安倍政権の危険な「働き方改革政策」を学び、春闘を果敢に闘おうと学習会を開きました。学習会では京都の弁護士・中村和雄さんが「安倍政権による働き方改革偽装と闘い」と題して講演を行いました。
中村さんは最初に、トランプはなぜアメリカ国民の半分が支持していないのか?世界の総所得の半分を世界の富豪が占めるようになった。これはどういう意味があるのか?と問い掛けました。
プリントパックという印刷会社が日本にある。会社は大きくなったが労働者低賃金で働かされている。就職時は1日8時間労働という触れ込みだが、実際は2交替で1日12時間労働だった。1日4時間の残業込みで1か月80時間の残業だが、給与は月20万円だった。勝手に昼勤を夜勤に変えられ、働き過ぎでうつ病になった。5年前には機械に巻き込まれる事件も起きた。労働組合をつくろうとしたら梱包の仕事に回されるという虐待にあった、というのです。まさに労働者が使い捨てられる時代になっている。電通事件をご存知と思うが決して許してはいけない。
政府は働き方改革で同一労働同一賃金、最低賃金引上げと言っているが本当にそうなのだろうか?私たちが提案してきた政策とどうゆう関係があるのか?と提起しました。
政府は労働政策審議会を形骸化させ今度は働き方改革と称して、大企業の都合の良いように労働市場に変えようとしている。しかし、今経営者の悩みは職場のうつ病だ。そのためには長時間労働に手を入れなければいけない。こうした問題の解消のためには①法案の練り直しであり、一定の収入のある人の労働時間の規制はもとより、政府の狙いは400万円程度の所得層にも残業代を払わなくてもいい仕組みを入れようとしていることだ。ホワイトカラーエグゼンプションというが、マンハッタンの労働者は残業代を貰ってない。法案を引っ込めさせ、週の残業時間を45時間までとして残業を野放しにさせないことだ。②月180時間とか200時間の残業を特例として認める36協定の上限を改める必要がある。電通は月の労働時間が80時間を超えていた。80時間は過労死を招く労働で規制の対象だった。それを120時間~150時間の残業をさせていた。だから摘発できた。しかし、80時間では労働時間は伸びるだけで過労死は無くならない。政府はこうした会社もクルミン(働きやすい)として表彰していた。厳しい規制の働き方にする必要がある。③人員不足の解消が求められている。5年~10年先に人口減少による若年労働者不足が明らかになっている。だから一億総活躍社会で女性や年寄りを安上がりの労働力として使おうとしている。外国人労働者の活用も同じ構図だ。低賃金で数百万人の労働力をパート・派遣・アルバイトとして使おうとしている。高齢者を働かせれば年金財源を減らすことができる。外国人労働者も基本的に移住させない政策だ。だから日本の労働者の賃金は世界的にも安い。
次に生計費だが、独身男性の生計費調査をすると全国どこで暮らしても生計費に変わりはない。時間給1000円では暮らせない。最低生計費を計算してみると1500円は必要なことが分かっている。一方で中央と地方の格差は開いている。10年前に100円だった格差は2倍上の218円にもなった。生計費原則に従って全国一律の最賃にすべきだ。この格差が地域活性化の壁になっているが最賃額の低い青森(716円)では青年労働者の賃金が最賃に張り付いているのが実態だ。全国一番だ。最賃を上げても企業はつぶれない。
アメリカでは15ドルの運動が全米で起こっており、実際に上がっている。連邦の最賃額は8ドル25セントだ。オキュパイ運動も起こり、ヤマネコストライキも起こって最賃額の引き上げにつながった。学者も協力した。実証的な研究も行われた。最低賃金バスターというホームページもある。説得力のある内容だ。地域活性化のためには底上げが必要。最低賃金の引き上げは国の予算にも関係する。社会保障費の削減にも効果がある。ドイツでは昨年から引き上げに力を入れている。日本では経団連が大きなブレーキを駆けているがそこを突破することが必要だ。
同一労働同一賃金だが、日本はILO100条約を批准しているが実際には賃金差別も労働時間も8時間制が守られていない。なぜか?それは該当する日本の法律がないからだ。経団連は政府に働きかけて法律をつくらせないようにしている。彼らが同一労働同一賃金というなら今がそのチャンスだ。本気でやらせる運動に着手する時だ。正規の労働者には社会保障の費用が含まれているが非正規労働者にはそれがない。社会保障の全面改悪がされている中で、正規労働者が多い組合運動を非正規の労働者に寄り添った運動に切り替えることが求められている。安倍政権は強固に見えるが実は脆い。ヨーロッパでは性の差別も雇用形態の差別も許さない社会になっている。日本は世界基準に立ち返ることだ。ただ、今議論されているのは同じ企業、同じグループ内の企業のことを言っており、産別内の運動の強化でこれをさらに進めることが大切だ。ヨーロッパでは同一労働同一賃金の労使共同評価が行われている。使用者の恣意的は判断で評価されない運動が必要であり、実際にそうした基準をつくることだ。しかし、その評価は職務の評価であって労働者の評価ではないことを踏まえる必要がある。生協などでは始まっているが実践を期待したい。やってみると評価の結果、大きな差はないことがわかる。賃金の差に見られるような職務の評価に大きな違いはない。すでに厚労省は始めている。別の恣意的なシステムをつくろうとしている。気を付ける必要がある。
ところで正規・非正規の分岐点に転勤の評価が課題となるがヨーロッパでは転勤はありえない。したがって評価もない。同じグループであっても移住や移籍となり新規の雇用契約になる。アメリカも同じだ。違う契約であり労使で決める関係が求められる。配転の可能性で差をつけていいのか?議論する必要がある。ここが正規・非正規の統一闘争の課題だ。職務評価は客観的なものが必要。パートに対する活用係数を掛けて差別してもいいという厚労省の狙いもあり、それで行くと現行賃金を追認することになる。警戒が必要だ。政府はガイドラインだとしているが、労働契約法の20条(差別禁止)の解釈基準をつくるのが厚労省の基本だったが、経団連は一切今の法律を動かしてはいけないとされ、ガイドラインとしての法制化に流れていく可能性は十分にある。そうではなく、原点に返った運動が必要だ。政府は改革をしないことを表明している。本当の意味での同一労働同一賃金を本気でやれという運動が求められていると、学習会の参加者を激励しました。
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