岡山県労働組合会議

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カテゴリ   後藤道夫

とき:2015年9月19日(土)13時30分~

ところ:倉敷市芸文館

戦争法が民主主義を踏みにじって成立した9月19日、午後から社会保障制度学習会が開かれました。テーマは「安倍医療改革と皆保険制度」。労働者は学習をしないと闘えない。あまりにも闘う分野が広くて、忙しくて本を読む暇もないが耳学問が手っ取り早い。途中休憩を挟んだが学習会はたっぷり3時間でした。この学習会は社会保障推進協議会が開き、1000人大学習運動in中国と銘打った企画で会場には50人が参加しました。講師は都留文科大学の後藤道夫先生です。

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後藤先生は社会保障制度の解体をひも解く前に、安倍政権は突然変異の復興主義政権なのか?と提起しながら、「安倍政権は官僚、財界、アメリカの強力な支持と激励がある。保守支配層と財界の念願となるのが、海外で戦争のできる大国づくりとグローバル競争大国づくりだ」として、これが安倍首相の乱暴な個性によって強引に進められたと戦争法や労働者派遣法を成立させたと説明しました。しかし、これは戦後日本の根本的否定でありアメリカの戦後政治・世界秩序への敵対という矛盾も抱えていることを解明しました。こうした、政策は強い反福祉国家主義として表れ、「福祉国家は社会主義、共産主義」という攻撃であり、国民への妥協はしないという警戒心」となっていると話しました。自民党は社会保障に関する特命委員会の2文書の骨子案の中で、「家族の力の喪失を背景に、子育てなどの社会化が一層進められようとしているが、徒にそうした道を選ぶのではなく、家族内の精神的、経済的、物理的な助け合い、すなわち家族力に強化により、自助を大切にする方向を目指す」として社会保障制度の解体による軍事費の予算増で軍事大国化を目指していると強調しました。

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続けて、後藤先生は皆保険体制の歪み拡大の歴史と安倍医療改革の新たな原動力を臨調行革期から構造改革期のなかで説明しました。皆保険制度はいつでもどこでも保険証一枚で必要な医療が受けられるという社会保障制度の根幹は崩されていないが、その出発点は出発点から弱点を持っていたとしました。大企業の資本蓄積優位の制度設計であり、企業ごとの保険とされ、退職者の国保への移送、小零細企業労働者の国保への押しつけがあるとしました。最低生活「保障」の視点も脆弱で保険料徴収の最低収入が基準となり、所得がゼロでも保険料を払わせる制度で、罰則は取り立てとセットだとして、これは世界でもまれな制度設計だと話しました。その上で、安倍改革の皆保険体制の解体として、①医療保険の都道府県化、互助組合化、②都道府県を医療供給体制の消滅主体にする、③都道府県医療費総額管理制の実現があるとその手法を説明しました。

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後藤先生は社会保障改革のイデオロギーについて、生活保護費の住宅扶助の引き下げの厚労省の主張を紹介しました。国交省が定めた「最低居住面積基準」は全国の民営借家の3分の1が未達成であり、この状態との均衡がとれる住宅扶助基準とすべきとしていることを取り上げ、「最低基準以下の生活を送る膨大な被放置層の存在を理由に切り下げた」と批判しました。本来はその存在を失くすことが国家の責任であり逆立ちした主張だと重ねて強調しました。その上で、その上で生活保護基準未満の収入世帯の規模をその5.5倍だとして1200万人になると試算結果を示しました。

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後藤先生は歴代の保守政権は「健康で文的な最低限度の生活」を保障する意思がない。そのことが制度の脆弱性に表れている。「自助、共助、公助」論を展開する社会保障制度解体路線の総合的な戦略は本格的な格差医療に移行する政府財界の狙いだとして、その全容を解明しました。

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