岡山県労働組合会議

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カテゴリ   吉川春子

6月16日(土)、岡山AALA主催の講演会が開かれました。「憲法からジェンダーを考える」というテーマで吉川春子さん(元日本共産党の参議院議員、慰安婦問題とジェンダー平等ゼミナール代表)がお話をされました。

冒頭、共同代表の中尾さんが、「カナダでG7が開かれ安倍首相が出席していた。G7では宿題として、前年にジェンダー平等が取り上げられていた。各国の到達が報告されているが日本はゼロ点で全く何もしていなかった。日本の男女平等ランクは世界193ヵ国中114位と情けない地位だ。安倍首相は何一つこのことに触れていない」と話しました。

吉川さんは、「24年間参議院議員をやった。当時、女性の議員は191ヵ国中140位で、今も女性の地位は国際的にも劣っている。基本問題を一緒に学びたい」と前置きして、「今年は女性参政権獲得100周年だが、英のエメリン・パンクハーストが当時の女性リーダーだった。ジェンダーは生物学的な違いをセックスというのに対して、社会的文化的に形成された性差の呼び方。日本では長い間、男は社会で働き、女性は家庭を守るという性的役割分業が教育を通して刷り込まれてきた。1985年になって、女性差別撤廃条約が批准され、1999年に男女共同参画社会基本法の制定で法律上の男女平等が整った。それでも政府は男女平等と言わず、共同参画とごまかしている」と話しました。その上で、「従軍慰安婦問題はジェンダーの最悪の形態であり、当時、日本軍はアジアの各国に慰安所をつくった。吉見義明中大教授によると、慰安所の設置動機はシベリア出兵(1918年~1922年)の教訓から生まれている」と解説しました。その吉見教授の説明では「シベリア出兵で兵士は強姦によって性病に罹患。その数2012人、戦死1387人で対して性病で亡くなった兵士の数が多かったことから、①兵士の性病予防(指揮の低下と軍機防止)②強姦防止(国際的顰蹙と、占領支配維持)③将校の慰安(軍機内ストレス解消)④防謀(情報漏洩防止)が目的だった」とされていると紹介しました。

吉川さんは国会の質問の中で村瀬守さんという方が戦争中のカメラマンとして撮影した写真を突き付け、日本軍の慰安婦実態を追及しました。その結果、河野官房長官談話(1993.8.4)によるアジア助成基金の事業が始まったと話しました。「それでもこの基金を受け取ることは娼婦になったことであり、日本政府によるセカンドレイプと呼びかけられ、韓国では受け取った慰安婦が避難され、償い基金事業は中止となっている」と強制的に慰安婦にされた韓国女性の抵抗が紹介されました。何故この問題が根深いかは、「名乗り出ることができない慰安婦女性の当時の生活と戸主の判断で女子を売春宿に売ることができた法制度の犯罪性にある」と告発しました。

戦後46年目に名乗り出た「元慰安婦」金学順(キム・ハンスク)さんの証言を紹介して、「自分は名乗り出ることができるのは身内がいないからであり、日本政府は悪いと認めるべき。事実を日本と韓国の若者に伝え、二度と繰り返さないことを望む」と言っているにも関わらず、安倍政権はこうした証言や証拠の文書を亡き者にしようと画策してきた。日本では城田すずこさんの著書「マリヤの賛歌」の中で、「同僚のために慰霊塔を立ててください」と書かれているが、日本政府だけではなく、NGOでさえ日本の慰安婦を除外していることに、問題の深刻さや見えにくさがあるとしました。

吉川さんは最後に世界に広がる「#MeToo」運動と「性暴力を名乗り出られる社会」の重要性やセクハラ被害の事態を紹介して、「セクハラ罪はない」発言をした麻生副総理の「政治家としての資格を問う」と怒りをもって告発しました。ジェンダーは憲法上の問題としても自民党の改憲草案に触れながら、「彼らは家族制度の復権を狙っており、権利に対する国の責任を家族に転嫁しようとしている」と話されたことを追記しておきます。

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