特集「STOP! TPP」
日本政府は7月23日にTPP交渉への正式参加を決定しました。今後の交渉会合でコメなど重要農産品5分野を関税撤廃の例外とすることを求めていくとしていますが、5品目すべてを守るのは難しいとの見方が強くあります。
政府の試算によれば、工業品の輸出拡大で10年後に国内総生産(GDP)を0.66%押し上げ、3兆2000億円の経済効果があるとし、米など主要な農産品の生産額は関税撤廃により3兆円減少するとしています。これでは農業への打撃があまりにも大きすぎます。
しかし、TPPは農業に限ったことではありません。保険、医療、福祉、労働などの全てが対象となります。
TPPは「関税」を撤廃するだけでなく「非関税障壁」も撤廃することが求められます。例えば、「健康保険」サービスを日本に売り込みたいアメリカの保険会社があったとする。ところが日本には国民皆保険制度があり、会社員やその家族は「社会保険」に、自営業の人は「国民健康保険」に入っているため、これ以上健康保険は必要ない。そのため、アメリカの「健康保険」には高い保険金を払ってまで加入する人がいなくなります。この場合、アメリカの保険会社にとって日本の健康保険制度は商売敵です。TPPに加盟すると、アメリカの保険会社が、「国民皆保険制度を廃止せよ!」と言うことが可能になります。
それでも日本政府が、「国民皆保険制度を廃止しない」と言い張るとどうなるか。アメリカの保険会社は日本政府を裁判で訴えることができるのです。その判定をするのは世界銀行の中にある「国際投資紛争解決裁判所」。この裁判所の判断基準は、自由貿易のルールに則っているかどうかだけです。それが日本人のためになるかどうかなんてまったく考慮してもらえないのです。
そして、日本政府が負けたら、賠償金を支払うか制度を変えなければならなくなります。せっかく日本政府が日本国民を守るためにつくった制度や法律、規制などが、すべてなし崩しにされかねません。
つまり、それぞれの国の法律や社会制度以上に、多国籍企業の利益の方が優先される社会がやってくるということになります。憲法で褒賞されている「国民主権」が崩れてしまうのです。自分たちがつくった法律が勝手に変えられてしまう。これで「国」と言えるのでしょうか。
このようにTPPは農業の問題だけでなく、社会のあり方そのものの問題なのです。
TPPによって・・・
〇国民皆保険制度がなくなってしまうかも。盲腸の手術だけで200万円、それが
払えない貧乏人は死ぬような社会がやって来る!?
〇日本の食料自給率は39%から13%に下がる。近いうちに必ず世界的な食料危機
が起こるから、突然食料輸入が途絶えて餓死者が出るようなことになるかも。
〇遺伝子組換え食品が蔓延し、そうでない食品を選ぶ自由すら奪われちゃう。
〇牛肉の月齢制限や添加物など食の安全基準が緩くなって、健康への悪影響が心配。
〇低賃金労働者が外国から入ってくるから、日本人の給料はますます下がる。職を
奪われて失業も増えるよ。そのうち外国まで出稼ぎに行かなきゃならなくなるかも。
〇デフレがますます加速するよ。今まで日本国内で回っていたお金がどんどん海外
へ流出しちゃうよ。景気はますます悪くなり、日本はどんどん貧しくなるよ。
〇そして何よりも問題なこと……国民を守るために、国民の代表が決めた法律や制
度が、アメリカ企業の都合によって、いくらでも変更してしまえるようになる。
国民の主権が奪われちゃうよ。民主主義の崩壊だよ。
(サルでもわかるTPPより)
サルでもわかるTPP→ http://luna-organic.org/tpp/tpp.html