岡山県労働組合会議

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連想分類語  保育

12月10日(日)、岡山県保育団体連絡会は新「保育指針」学習会を行い、140人が参加しました。講師に大宮勇雄さん(福島大学)を招き、「新保育所指針の特徴・問題点、そして私たちの保育」というテーマで講演を行いました。

厚生労働省は3歳未満の子どもへの保育内容を手厚くするという方針のもと保育指針を改定し、2018年度から新保育指針が実施されることになりました。しかし、その内容は子どもの発達を無視した成果目標を達成することに主眼があり、人間性豊かな保育実践を阻害する内容です。このような指針に対して、保育者はどう対応していったらいいのかを考えました。

大宮さんは、「新保育指針は養護なくして教育なしの原理を否定し、保育の目的を教育へと狭めている。教育が成り立つためには、子どもが基本的な生活の術を身につけていることと合わせて、大人との間に信頼関係がないといけない。それは、生活の中での心身両面のケアから形作られる。厚労省が示す基本方向では、3歳児以上には保育は不要と考えているようにもとれる。これは、保育だけでなく学校教育全般にも大きく影響する」と政府の方針を批判しました。

そして、厚労省の示す「育ってほしい姿」について、「特定の価値観、人間観、政治観を押し付ける内容になっている。本来は子どもを自己決定の主体として認めることが大前提だ。しかし、厚労省目指すのは人的資源の開発で、幼児期から能力競争を強いるものだ。これでは、大人の指示通り、計画的に子どもを動かすことがいい保育ということになる」と子どもの視点が欠如していることを指摘しました。

大宮さんは新「保育指針」批判の視点として4点を示しました。

 

①人間論としての批判・・・子どもであっても個人として尊重されないといけない

②政治論としての批判・・・主権者・民主主義の担い手としての資質・能力は省かれている

③学び論、発達論として批判・・・夢中、熱中のなかで子どもは育つ

④育ってほしい姿を書き換える・・・子どものすべての姿に育ちとしての意味がある

 

最後に大宮さんは、「指針が開廷されても引き継いでいかないといけないものがある。成長・発達は子どもが主人公。育ちはスキルではなく、その子の意思や感情に導かれてこそ開花する。決して教えることのできるものではない」と話しました。

講演終了後、白鳩保育園、あゆみ保育園、岡山協立保育園の各主任と大宮さんによるディスカッションが行われました。主には子どもの自立をテーマに話が進められ、白鳩保育園の実践から、「自立はしなければいけないことではなく、自分でしたいことに向き合うことだ。そして、一人では自立はできない。集団の中で認め合いながら子どもは育つ」と語られました。

コメンテーターとして大宮さんは、「子どもの成長・発達は一定の基準に照らして判断できるものではない。具体的な関わり合いの中や具体的な事例を聴くことが一番大切。その子の育ちはその子と一緒にあるからだ」とまとめました。

と き:2016年11月19日(土)14:00~

ところ:マツモトキヨシ前

概 要

 

岡山県保育団体連絡協議会は、安心できる保育の実現を求めて署名行動を行いました。このとりくみには56人が参加し、1,003筆の署名を集めました。

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「保育園落ちた日本死ね」と訴えるブログが大きな契機となり、保育所の待機児童問題と保育所に働く労働者の低賃金・人手不足が大きな社会問題となりました。政府も与野党も保育所職員の待遇改善策を提案するなど、参議院選挙では争点にもなりました。

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県保連会長の篠田さんは、「私たちをはじめ、国民の多くの願いは安心して子どもを産み、育て、働き続けることだ。来年4月からの認可保育所入所のための申請書類の配布が市区町村の窓口で開始される中、親たちから不安と懸念とともに、現状の打開を求める切実な声が相次いでいる。厚生労働省のまとめでは今年4月に、認可保育所を希望しながら入れなかった子どもは全国で2万3553人と2年連続で増加となり、やむを得ず認可外施設に預けた子どもなどを含めると約9万人が待機児という深刻な状況だ。このため認可保育所に子どもを入れるために、親が奔走する「保活」はますます激化している。「保活」に苦労しないと保育所に入れない国で、安心して出産して子育てができるはずがない」と訴えました。

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すべての子どもの健やかな成長・発達が保障され、そのために必要なのが保育環境の整備と保育士の処遇改善です。政府でも具体的な対策の検討が始まっていますが、保育への民間企業の参入や保育園基準を緩和するなど規制緩和による対策に終始しています。いま、全国各地の保育関係者・保護者・労働組合などが連帯し、公的保育の拡充を求める予算要求行動、制度の改悪を許さない運動を展開しています。

と き:2016年8月20日(土)~22日(月)

ところ:島根県・くにびきメッセ

概 要

 

全保連主催の「全国保育団体合同研究集会2016年in島根」が開催され、全国各地から4000人余りの保育者、保護者が参加しました。

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第48回となる全国保育団体合同研究集会のテーマは「ひろげよう!平和へのねがい つなげよう 保育・子育ての輪」で、安倍政権によって戦争する国づくりが進められている情勢を反映したものとなっています。

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実行委員長の渡邉保博さんが開会あいさつを行い、「子ども・子育て支援新制度が始まって1年あまり。保育の基準や保育施策を後退させる動きがすすむなか、『認可保育園を増やして』『「保育士の処遇の改善を」など保育への願いが渦巻いている。今回の集会で保育とは何か、何がよい保育なのかを学び、話し合い、明日からの保育に活かしていこう」と呼びかけました。

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その後、フォーラムが行われました。まず大宮勇雄さん(福島大学教授)が「いま、乳児期に大切にしたい保育とは?」と題した報告を行いました。大宮さんは、「昨年4月から実施された子ども子育て支援新制度のもと、幼稚園や幼保連係型認定こども園では『幼児期の学校教育』がされ、保育所では『保育』が行われているとしている。これは、教育と保育をあたかも異質なもとして描き出している。保育が目指しているのは、子どもの幸せな日々を作りだすこと。つまり、子どもがもてる力を存分に発揮で友だちに認められ、支えられながら自分づくりをすることだ。そのためには、子どもの状態を見極め、可能性を豊かに見る保育士の専門性が問われる。学校教育のように決まりは守るべきものということを教え込み能力を伸ばすことが目的とされるが、協同生活の中で相手を認め、相手の気持ちに応える姿を育てるのが保育における教育だ」と保育は教育と切り離せるものではなく教育を包み込んださらに豊かな内容を含んでいるとしました。

次に、黒沢祐介さん(兵庫大学短期大学部)が「保育者同士の学び合い、共同で豊かな保育を」とのテーマで報告を行い、「子どもたちが幸せな日々をおくれる保育を進めるためには、それを支える保育者の仕事、その専門性が問われる。子どもたちは保護者や保育者、友だちに認められ、支えられながら自分づくりをしていく。同じように、大人も仲間の中で認められながら自分づくりをしていく。そもそも、保育観や専門性に唯一の正解というものはない。ほかの保育者と語り合い、時に課題を指摘され、時に自らの保育を認めてもらう。そして、ほかの保育者の保育観を知ることで形づくられる。専門性を高める学びは集団的なかかわりの中で育まれる。保育の質を高めるためには、つながり合いだけでなく、職場環境、労働条件も重要になる。また、保護者と共同で保育は営まれるため、保護者との連携も欠かせない」と述べました。

最後に、中西新太郎さん(横浜市立大学名誉教授)がまとめを行い、「『保育園落ちた』というブログが世論を動かし、保育所を増やし、保育労働者の処遇改善の必要性に多くの人が気付き始めている。毎日の子育て・保育の困難を軽減するためにも、問題を共に考え行動するネッワークづくりが必要。互いに励まし合い、心を通わせる場や機会を保育現場でも作りだしていこう。子育ての連帯は社会を豊かに平和にする。『子どもを産み育てるのは自己責任』という考えは、子育てを親だけに押し付けるもので生活全体をバラバラにするものだ。『他人の世話にはならない』と突っ張り合う社会よりも、たがいに力を借り合い支え合う社会の方がずっと豊かだ」と話しました。

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翌日は、分科会が行われ、「こんな時代に生きる私たちの保育・子育て」では愛知県けやきの木保育園園長の平松知子さんを講師に、保育職場の処遇改善について学びました。

平松さんは、「子どもの成長に積極的に関わっていく保育。自分たちはなんてすばらしい仕事をしているんだろうと考えている保育士も少なくない。しかし、そうは思えない現状がある。新制度によって保育者の労働はより過酷なものとなっている。待機児童の解消と称しながら、保育園規制の緩和が行われている。鉄道高架下の保育園でもびっくりするが、最近では地下に保育園をつくろうとする動きもある。最近話題になった、毛布でグルグル巻きにされた子どもの事件。その子どもたちは人目の付かないところに隔離されるようにされていた。保育園で起きる虐待事件にはもちろん背景がある。困っても相談できない現場であったり、人手不足で多忙を極める日々、それでいて低賃金など。あたたかい保育はあたたかい職員集団から始まる。保育士の処遇改善はこどもの処遇に直結している」と述べました。

保育と教育は切り離せるものではありません。保育でいう教育とは、子どもがその人らしさを全面発揮しながらも周囲との関わりを学んでいくことをサポートすることです。そのため、保育士の専門性が非常に重要です。一見すると子どもたちと遊んでいるだけに見える保育士ですが、ただ遊んでいるだけではなくプロとして子どもの発達過程を見極めています。今政府によって行われているのは、保育士の専門性を度外視した規制緩和です。このままいけば、質の高い保育を受けたければそれだけ金銭面の負担が増し、貧困層は質の低い保育しか受けることができない、最悪の場合保育を利用できないことになりかねません。労働組合としても保育問題を今後もとりくんでいきます。

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と き:2015年11月3日(火)~4日(水)

ところ:東京・日比谷野外音楽堂

概 要

 

2015年4月から新制度が始まりました。しかし、新制度は非常に複雑で、様々な問題が指摘されています。新制度の狙いは保育の市場化です。これでは子どもたちに平等な保育を実施することはおろか、安心して保育園に子どもを委ねることができなくなります。国・自治体の責任で保育の充実を求めて全国から3,500人が集まりました。

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オープニングとして、二本松はじめさんによる歌とつながり遊びのコンサートが行われました。全国の保育士さんと子どもたちが元気いっぱいに踊りました。

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その後、主催者を代表して高柳京子さん(自治労連・副中央執行委員長)があいさつを行い、「安倍首相は失敗が明らかになった成長戦略と同じことを繰り返している。新三本の矢のひとつが子育て支援とされている。子育てをしやすい社会をつくり、女性が輝く日本をつくると言っているが現実はどうか。全国で2万8千人もの待機児童がおり、保育費が最高で3倍にまで値上がりした人もいる。そして、保育士不足も解消されない中での新制度の導入によって現場は混乱している。公的保育の充実を求めて声を上げていかないといけない」と訴えました。

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その後、主催者による基調報告が行われました。報告では安倍政権は保育だけでなく福祉全般を変貌させようとしている点が上げられました。「厚生労働省のプロジェクトチームが提案した『新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン』は老人、障害者、子どもの福祉3分野に生産性の視点を持ち込み、福祉を営利化することを掲げている。これは国民一人ひとりの権利としての福祉を侵害することになる。いま一度福祉の理念に立ち返り、充実したよりよい保育、福祉を求めていこう」と会場に呼びかけました。

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基調報告の後、全国の保育労働者・保護者が登壇し訴えを行いました。「保育士が少ない中、現場はもう限界だ。保育士を増やしてもらわなければゆきとどいた保育はできない」「保育士の給料は低すぎるため、引き上げてもらいたい。これではなり手がいない」という発言や、保護者からは、「保育園に預けていた子どもが突然死した。原因の究明はされていない。このような悲劇を繰り返さないためにも、危機管理・救命訓練などを徹底してもらいたい。自治体の責任で質の高い保育を実現してもらいたい」との発言が続きました。

最後に、集会アピールが読み上げられました。新婦人・西川香子さんで、「私たちは今日の集会で学んだ保育をめぐる情勢、全国の仲間たちの奮闘や活動の教訓を胸に、明日すべての国会議員を訪ねて保育の問題を訴え、署名の紹介議員になっていただくことを要請します。そして、保護者と保育者の手つなぎを軸に、全国各地で学習と対話を広げ、幅広い住民の共同と市町村への運動をつくっていくことを決意します」とアピールが発表され、会場の拍手で承認されました。

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集会終了後は、有楽緒に向けてパレードが行われました。「保育園を作って」「保育士増やしてよ」「保育料下げろ」「待機児なくせ」とコールが響き渡りました。

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翌日、政府・国会議員要請行動が行われました。事前の意思統一集会では藤井伸生さん(京都華頂大学)による学習が行われました。藤井さんは、「保育料値上げ問題は全国で起こっていることだ。自治体ごとに引き上げを求めて運動するよりは、国の制度として問題をとらえた方がいい。そして、改悪されているのは保育だけではない。福祉全般が改悪されている。福祉とは命を守り育てるものだ。戦争法はその対極にある。事実、軍事費の増大で社会保障費は削減されている。最近になって自民党はまずは家族での助け合いが重要であることを説き、自助・共助を強調している」とし、「現在、福祉には応益負担が導入されている。厚労省提案にもあるように、ゆくゆくは負担額の引き上げ、福祉の営利化が狙いだ。保育では新制度の導入で民間企業も保育に参入できるようになる。起業は利益を上げることが目的であるため、利用者のことは二の次にされてしまうだろう」と安倍政権の考える福祉破壊の危険性を述べました。最後に、「福祉の充実を求めると、財源が問題にされる。日本には資金がないわけではない。300兆円を越える内部留保が存在しているではないか。消費税で社会保障費をまかなうというのは真っ赤なウソであったことが明らかになった今こそお金の使い道を問うてこう」とまとめました。

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その後、要請行動の注意点などの説明があった後、グループに分かれて議員訪問を行いました。岡山グループは四人で、大平義信衆議院議員、津村啓介衆議院議員、柚木道義衆議院議員、高井崇志衆議院議員を訪問。その内、大平議員と懇談ができました。岡山市の保育園の現状と保育士の労働実態を訴えていきました。

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