岡山県労働組合会議

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連想分類語  予防

と き:2014年5月17日(土)13:30~

ところ:岡山市総合福祉会館

概 要

 国民病とも言われる「がん」。2人に1人ががんにかかり、3人に1人はがんで亡くなっています。岡山県では2014年3月20日に「がん対策推進条例」を施行しました。この条例では、がん対策を担う主体として県の責任や市町村、県民、保険医療福祉関係者、事業者、医療保険者の役割を規定しています。

 岡山県での条例制定を機に、がん医療フォーラムが開催されました。今回のフォーラムでは様々な角度から患者や家族が抱える悩みを共有し、がんになっても自分らしく生きていく社会のあり方を話し合いました。

 高橋都さん(国立がん研究センター・がん対策情報センター・がんサバイバーシップ支援研究部)が基調講演を行いました。高橋さんは、「今がんの意味が変わってきている。生存率の向上によりがんとの付き合いが長くなり、診断・治療もその後の社会生活が続くことが前提とされている。そして、毎年新たにがん診断を受ける80万人のうち、約1/3は働く世代だ。近所や職場など身近なところにがんと向き合っている人がいる。いまはインフォームドコンセントが治療の前提にあり、がんと知ったうえで生活するのが当たり前の時代だ」と話しました。がんと聴かされて驚かない人いません。しかし、その後も暮らしは続いていきます。高橋さんはがんになった後に起こる社会問題について、「治療の長期化による経済的不安、人間関係、就学・就労など様々な問題が発生することになる。また、日本人のがんに対するイメージは現実よりも悲観的なものとされている。患者本人や家族もそうしたイメージに振り回されていないだろか。人間のからだ・心・暮らしは周囲の条件、環境からの影響を強く受けるものだ。しかし、様々な支援制度が整備され、相談窓口もある。がんを正しく知り、向き合うことが大切だ」と述べました。

 その後、4人の方らか報告がありました。田端雅弘さん(岡山大学病院・腫瘍センター長)は、「医師にできることはあまりないのではないかと痛感することがある。患者にその後の生活のことや職場での悩みを相談されたとしてもどうしてあげることもできない。関連窓口の紹介で終わってしまう。患者には暮らしがある。医師の立場からはなかなかその部分が見えない」と話しました。

山邊裕子さん(岡山造血細胞移植患者会きぼう代表)は、「私もがん患者の一人だ。私は会社の経営をしている。自分が倒れたとき、会社や従業員に対してどう責任を取ればいいのかと本当に不安だった。私は退院後、何とかこれまでの遅れを取り戻そうと必死だった。そのためかえって周囲に迷惑をかけることもあった。自分自身ががんを経験して言えることは、決して同じ立ち位置に無理に戻ろうとしないことだ」と話しました。

 赤瀬佳代さん(在宅医療支援チーム「結」メッセンジャーナース)は、「私たちは、家庭医療と、専門医療、高齢者医療およびホスピス・緩和ケアを統合し、チームを組んで、在宅を含む医療とケアの総合サービスを提供している。患者と支援施設を繋ぐことがスムーズにいかないなど現実には様々な制度上の問題がある。その点を課題として今後もとりくみを進めて行く」と述べました。

 最後に、日高千陽さん(医療ソーシャルワーカー)は、「がんと告知され、今までの生活・仕事・家族での役割など自分をとりまく環境はどうなっていくのか、自分はどうすればいいのかと言う不安や悩みに対して、ソーシャルワーカーとしてできるのはその人がその人らしく生きていくための支援だ。現在に至るまでの生活状況やその人が何を大切に生きてきたかを理解することは大切なこと。生活の再構築に向けての過程に寄り添うかかわりを継続していきたい」と語りました。

 がんはまだまだ未解明なことが多く、がんにかかった時にはやはり正しく知るといことが大切になります。がんになったからといって即、人生が終わるわけではありません。その後の人生をその人が最もその人らしく生きていくためにできることは何か。岡山県がん対策推進条例を機に、労働組合の視点からも考えていく必要があります。

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