岡山県労働組合会議

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カテゴリ   川島聡

とき:2018年3月4日(日)13時30分~

ところ:林病院ひまわりホール

岡山肢体障害者の会と障岡連の共催による「障害者の人権を考える」学習会にお邪魔しました。50人くらいの参加でした。講師は岡山理科大総合情報学部社会情報学科准教授の川島聡先生です。川島先生は今回で4回目の講演となるそうですが、私は2回目の聴講となりました。講演のテーマは「条約・法律・条例における障害者差別禁止の課題」です。難しそうなテーマですが、川島先生の良いところはベーシックなところを丁寧に話していただけることです。

ところで、障害者の権利に関する条約が国連総会で2006年に採択されました。背景派3つあります。第1は障害関係の国際文書に権利条約のような法的拘束力を持つものがなかったこと、第2はこれまで国連で採択された権利条約では障害者の存在が十分に意識されてなかったこと、第3は1990年以降、障害者運動の国際化もあって、「障害問題は人権問題だ」という理解が国連に広がったことにあるようです。

その上で、先生はこの権利条約は、「障害の社会的モデル」が採用されたと言うのです。ここが凡人には分かりにくいところですが、この社会モデルによると、障害(ディスアビリティ)というのは①心身の機能障害(インペアメント)、②社会的な障害(バリア)との相互作用から生じる③不利を意味するそうです。さらにそれは医学モデルに対抗するモデルだというのです。

「医学モデル」というのは、機能障害を有する者が被る不利の原因を、その機能のみに求めてしまう視点であり、障害者が差別され、社会参加ができない理由は機能障害があるからだという考え方です。「社会的モデル」では不利の原因には機能障害と社会的障壁があり、その相互作用の結果だと説明しています。

「障害者の社会モデル」どういったものかと言うと、それはものの見方、つまり視点を意味していると説明されました。つまり、これこそが社会的障壁に直面して不利益を被り、自己の存在を肯定する障害当事者(運動)の視点が必要だという説明です。具体的には、社会における差別の禁止などを国家に義務付ける権利条約を実現する条文には、障害当事者の視点(社会モデル)と主張が有益だと話されました。

そこで、無差別と機会均等の似たような言葉について、面白い解説があったので紹介します。「無差別」には、等しい場合には等しく扱わなければならない(同一取り扱い)という原則がと異なるものは異なって扱わなければならない(別異取り扱い)という原則の2つが含まれているというお話です。別異取り扱いの原側を具体化したのがが「合理的配慮」だそうです。この合理的配慮というのはよく聞く言葉ですが、過度な負担のない範囲で、個々の障害者のニーズに応じて変更や調整をすることを意味するそうです。「機会均等」を実現するためには、同一取り扱い原則のみでは不十分であり、別異取り扱い(合理的配慮)必要だと話され、頭の中が整理された気がしました。先生は無差別の概念として例を挙げ、「お弁当を買う代金を持っている者であれば、障害者であろうがそうでなかろうが等しく扱う」ということであり、「合理的配慮をしましょう」と説明しました。

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