岡山県労働組合会議

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岡山年金裁判原告団会議

と き:2021年8月12日(木)12:15~

ところ:岡山駅西口さんすて前

概 要

 

8月7日(土)、岡山年金裁判原告団会議が開催されました。岡山年金裁判は一審では敗訴となりましたが、控訴し二審での勝利に向けた決意を参加者は固め合いました。

原告団事務局長の近藤劭氏が今後の取り組みについて報告しました。高裁に向けての闘いは短期間であり集中的な取り組みが求められますが、近藤氏は裁判所の司法としての自覚を迫ることが大切であるとし以下の3点を提起しました。

① 要請署名を地裁以上に取り組み、高裁に対する要請行動を行う

② 私たちの主張を世論化すると同時に最低保障年金制度の第3次提言を広げる

③ 裁判を支える募金活動を強化する

 

〇弁護団の見解

原告団会議では、弁護団から判決の問題点が解説され、控訴理由書に沿って担当した弁護士5人からそれぞれ詳細な報告が行われました。

古謝弁護士は国民年金制度の憲法上の目的を法律に沿って説明しながら、「判決は基礎年金が減額され深刻な被害にあっている国民年金受給者の権利侵害に対して、司法の役割を事実上放棄している」としました。その上で、判決の誤りは、「マクロ経済スライド制の適用で、所得代替率が3割から約4割削減されることについての判断遺脱」だと断罪しました。この問題について原告は司法から何らかの判断が示されると考えていたが一切示されていないと違法性を指摘しました。

則武弁護士は「マクロ経済スライド規定がILO102号条約に違反したとして、判決には法解釈の誤りがある」とILO条約の趣旨に従って詳細を説明しました。則武氏は「判決では、国がILO条約の厚生年金制度を選択しているので国民年金制度を履行する義務を負わないとしている。しかし、これは日本府の報告書を根拠とするもので、実際には国民年金制度こそがナショナルミニマムであり、対象外にするのはおかしい。ILOが定める従前の所得は退職直前の平均賃金であり、それを加盟国が自由に定義することは、ILO条約が所得代替率を40%に定める意義を失わせることになる」と判決にあるILO解釈の誤りを詳細なILO研究から解説しました。

清水弁護士は女性の低年金問題に関する判決の誤りについて、「高齢女性の生活実態に関する原告の主張を無視している。これは平成24年の改定法制定にあたっても考慮されていない。判決では男女間の年金格差を考慮した是正措置もとられているとしているが、実際の減額処分は一律の減額であり、高齢女性の生活に与える影響をまったく考慮していない。さらに女性の低年金問題は構造的なものであり、是正措置は格差を縮めるには程遠く、違憲性とは言えない」という判決は審理不十分だとしました。

原弁護士は「年金財政の安定化を理由に年金受給者の生活を維持することよりも、巨額の年金積立金の保有を優先する積立金至上主義で逆立ちした判決だ」と批判しました。平成24年の法改正時に120兆円を超える積立金があった。これは年金給付額の3年分になる。欧州の積立金は数か月分で日本よりもはるかに低い。平成12年度から14年の物価スライド特例法は物価下落時に形式的に適用するのをやめて、年金受給者の生活と景気対策を優先した。この趣旨に沿えば、年金財源が不足する事態では年金積立金の一部取り崩しという措置もあって当然。そもそも積立金は余った資金だ。年金受給者に無理強いまでして、物価下落の時に特例措置分を解消する理由はない」と年金財源の安定化に正当性はないと主張しました。

吉村弁護士は地域経済に与える影響について「公的年金の減額は大都市圏と地方圏との間に、経済規模や所得の地域間格差の累積的な拡大をもたらす」と述べ、「これは①立法裁量を逸脱して違法、②地域間格差の拡大をもたらすとは、不利益、被害、損害を特徴づける。③地域に与える影響の立証は、個人に還元した緻密さは要求されず、概括的な影響が明らかになればよい」としました。さらに判決は「減額が地域経済に与える悪影響について検討・判断を全くしていない」として、「裁量権の逸脱・濫用が認められ憲法25条違反」と断じました。さらに憲法14条の平等原則にも違反すると説明しました。

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